関連法規(全14問中14問目)

No.14

金融商品の販売および取引等に係る関連法規等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2015年1月試験 問24
  1. 上場企業の役職員が当該企業の株価に著しい影響を及ぼす重要事実を入手し、その重要事実が公表される前に当該企業の株式を売買することは、金融商品取引法により規制されている。
  2. 円建ての普通預金は、金融サービスの提供に関する法律(金融サービス提供法)の適用を受ける一方、金融商品取引法の適用対象とはならない。
  3. 犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)では、利用者が金融機関の窓口から10万円を超える現金を振り込む場合や200万円を超える現金の受払いをする場合、金融機関に取引時確認の義務を課している。
  4. 金融ADR制度において、利用者(顧客)の申立てにより紛争解決手続が開始され、金融機関が指定紛争解決機関から手続に応じるように求められた場合、金融機関は、理由のいかんを問わず、それを拒むことができる。

正解 4

問題難易度
肢12.2%
肢212.8%
肢35.9%
肢479.1%

解説

  1. 適切。上場会社の役員等は、当該上場企業の業務等に関する重要事実を知った時は、その事実が公表されるまで当該企業の株式を売買、譲渡および譲受等してはいけません。いわゆる「インサイダー取引規制」の条項です(金商法166条)。
  2. 適切。金融サービス提供法が規制対象とする「金融商品の販売」には、普通預金の契約締結が含まれるので、円建ての普通預金も適用を受けます(金サ法2条1項1号)。一方、円建ての普通預金は、金融商品取引法の規制対象となる「金融商品」には含まれないので、金融商品取引法の適用はありません(金商法2条24項、金商法令1条の17)。
  3. 適切。犯罪収益移転防止法では、金融機関等の特定事業者に対し、特定取引(窓口で10万円超の現金を振り込む場合や200万円超の現金を受払い)を行う際に、本人の氏名・住所・生年月日や取引目的等を確認する義務を課しています(犯罪収益移転防止法4条)。
  4. [不適切]。金融機関が拒むことができるのは正当な理由があるときに限られるので、本肢の記述は誤りです。
    金融ADR制度において、苦情処理手続や紛争解決手続が開始された場合、指定紛争解決機関または紛争解決委員は、金融機関にこれらの手続に応じるよう求めることができます。当該金融機関は正当な理由があるときを除き、この求めを拒むことはできません。報告や物件提出の求めについても同様です(金商法156条の44第2項2号、同3号)。
したがって不適切な記述は[4]です。