ポートフォリオ運用(全23問中20問目)

No.20

国内ポートフォリオ運用において、リスク調整後収益率を測定するための各種手法の一般的な説明に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。
  1. トレイナーの測度は、ベンチマークに対するポートフォリオの超過収益率を、トラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)で除して求める。
  2. シャープ・レシオ(シャープの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、ポートフォリオの収益率の標準偏差で除して求める。
  3. ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのα(アルファ)で除して求める。
2016年1月試験 問21
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)

正解 1

問題難易度
肢151.8%
肢237.3%
肢36.0%
肢44.9%

解説

ポートフォリオ運用におけるパフォーマンス評価で問われる5つの手法について押さえて覚えておきましょう。
資本資産評価モデル(CAPM:キャップエム)
●投資家の期待収益率=安全利子率+β×(市場全体の期待収益率-安全資産利子率)
β=対象資産のリスク感応度、ポートフォリオのシステマティック・リスク
ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)
●ポートフォリオの収益率-CAPMの期待収益率
ポートフォリオのパフォーマンスを理論上の期待収益率と比べて評価する
トレイナー・レシオ(トレイナーの測度)
●(ポートフォリオの収益率-安全資産利子率)÷β
βによるリスク当たりの超過収益率の大きさを表す
シャープ・レシオ(シャープの測度)
●(ポートフォリオの収益率-安全資産利子率)÷ポートフォリオの標準偏差(σ)
標準偏差による単位リスク当たりの超過収益率の大きさを表す
インフォメーション・レシオ(情報比)
●(ポートフォリオの収益率-ベンチマークの収益率)÷トラッキングエラー
ポートフォリオとベンチマークの収益率の差(アクティブリターン)を得るためにどの程度効率的だったかを表す
※超過収益率の標準偏差
  1. 不適切。トレイナーの測度は、安全資産利子率に対するポートフォリオの超過収益率を、資本資産評価モデル(CAPM)のβ値で除して求めた値です。β値は、市場全体に対するポートフォリオのシステマティック・リスクを測定したものです。

    ポートフォリオの収益率-安全資産利子率β

    記述は「インフォメーション・レシオ(情報比)」を説明した文なので誤りです(以下の算式)。

    ベンチマークの収益率に対するポートフォリオの超過収益率トラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)

  2. 適切。シャープレシオ(シャープの測度)は、安全資産利子率に対するポートフォリオの超過収益率を、ポートフォリオの標準偏差で除して求めた値です。

    ポートフォリオの収益率-安全資産利子率ポートフォリオの標準偏差

  3. 不適切。ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの期待収益率から資本資産評価モデル(CAPM)の期待収益率を差し引いた値で評価します。

    ポートフォリオの収益率-資本資産評価モデル(CAPM)の収益率

したがって適切なものは「1つ」です。