ポートフォリオ運用(全23問中23問目)

No.23

国内ポートフォリオ運用において、リスク調整後収益率を測定するための各種手法の一般的な説明に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2014年9月試験 問22
  1. トレイナーの測度は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのβ(ベータ)で除して求める。
  2. インフォメーション・レシオ(情報比)は、ポートフォリオの収益率からベンチマークの収益率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのβ(ベータ)で除して求める。
  3. シャープ・レシオ(シャープの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、ポートフォリオの収益率の標準偏差で除して求める。
  4. ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの収益率から、 CAPM(資本資産評価モデル)による収益率(安全資産利子率+β×(市場全体の収益率-安全資産利子率))を差し引いて求める。

正解 2

問題難易度
肢18.8%
肢263.9%
肢311.9%
肢415.4%

解説

ポートフォリオ運用におけるパフォーマンス評価で問われる5つの手法について押さえて覚えておきましょう。
資本資産評価モデル(CAPM:キャップエム)
●投資家の期待収益率=安全利子率+β×(市場全体の期待収益率-安全資産利子率)
β=対象資産のリスク感応度、ポートフォリオのシステマティック・リスク
ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)
●ポートフォリオの収益率-CAPMの期待収益率
ポートフォリオのパフォーマンスを理論上の期待収益率と比べて評価する
トレイナー・レシオ(トレイナーの測度)
●(ポートフォリオの収益率-安全資産利子率)÷β
βによるリスク当たりの超過収益率の大きさを表す
シャープ・レシオ(シャープの測度)
●(ポートフォリオの収益率-安全資産利子率)÷ポートフォリオの標準偏差(σ)
標準偏差による単位リスク当たりの超過収益率の大きさを表す
インフォメーション・レシオ(情報比)
●(ポートフォリオの収益率-ベンチマークの収益率)÷トラッキングエラー
ポートフォリオとベンチマークの収益率の差(アクティブリターン)を得るためにどの程度効率的だったかを表す
※超過収益率の標準偏差
  1. 適切。トレイナーの測度の算式は次のとおりで、単位リスク当たりの超過収益率の大きさを表します。

    ポートフォリオの収益率-安全資産利子率β

  2. [不適切]。インフォメーション・レシオ(情報比)は、ベンチマークの収益率に対するポートフォリオの超過収益率(アクティブリターン)をトラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)で除して求めます。分母はβ値ではなくトラッキングエラーです。

    ポートフォリオの収益率-ベンチマークの収益率トラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)

  3. 適切。シャープ・レシオは、安全資産利子率に対する超過収益率をポートフォリオの標準偏差で除して求めます。

    ポートフォリオの収益率-安全資産利子率ポートフォリオの標準偏差

  4. 適切。ジェンセンの測度は、ポートフォリオの期待収益率から資本資産評価モデル(CAPM)の期待収益率を差し引いた値です。

    ポートフォリオの収益率-資本資産評価モデル(CAPM)の期待収益率

したがって不適切な記述は[2]です。