損益通算(全16問中10問目)

No.10

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2019年1月試験 問27
  1. 本特例の適用を受けるためには、譲渡した居住用財産の所有期間が譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければならない。
  2. 本特例の対象となる家屋は、現に居住の用に供している家屋または居住の用に供されなくなった日以後3年を経過する日までに譲渡される家屋に限られる。
  3. 本特例の対象となる譲渡損失の金額は、譲渡に係る契約を締結した日の前日における当該譲渡資産に係る住宅借入金等の金額の合計額が限度となる。
  4. 前年以前3年内の年において生じた本特例による損益通算後の譲渡損失の金額がある場合であっても、合計所得金額が3,000万円を超える年分については、本特例による繰越控除の適用を受けることはできない。

正解 4

問題難易度
肢113.3%
肢220.7%
肢313.3%
肢452.7%

解説

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」は、住宅ローンが残っている居住用財産を売って買換えをしなかった(借家等に移り住んだ)場合に、譲渡損失について損益通算や繰越控除を受けられる特例です(措置法41条の5の2)。
  1. 不適切。本特例の適用を受けるためには、譲渡した年の1月1日において譲渡した居住用財産の所有期間が5年を超えていなければなりません(措置法41条の5の2第1項)。
  2. 不適切。本特例の適用を受けるためには、現に住んでいる家屋を譲渡するか、住まなくなった日の3年後の12月31日までに家屋を譲渡する必要があります(措置法41条の5の2第7項)。
  3. 不適切。本特例で損益通算と繰越控除の対象となる譲渡損失の額は、譲渡契約を締結した日の前日における住宅ローンの残高から譲渡対価を控除した額が限度となります。住宅ローンの残債部分に限り、損失とされるわけです(措置法41条の5の2第7項)。
  4. [適切]。合計所得金額が3,000万円を超える年については、繰越控除の適用を受けられません。譲渡損失を生じた年(損益通算)は所得制限ありませんが、その繰り越した損失を翌年以降に通算する(繰越控除)ときには所得制限があるということです(措置法41条の5の2第4項)。
したがって適切な記述は[4]です。