各種所得の内容(全46問中21問目)

No.21

居住者に係る所得税の事業所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2020年1月試験 問25
  1. 個人事業主が、事業所得を生ずべき事業の遂行上、取引先に対して貸し付けた貸付金の利子は、事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
  2. 個人事業主が、事業所得を生ずべき事業の用に供している取得価額130万円の車両を売却した場合、事業所得の金額の計算上、当該車両の売却価額を総収入金額に算入し、当該車両の未償却残高を必要経費に算入することができる。
  3. 個人事業主が、生計を一にする親族が所有する土地を賃借して事業所得を生ずべき事業の用に供している場合、事業所得の金額の計算上、当該親族が納付した当該土地に係る固定資産税に相当する金額を必要経費に算入することができる。
  4. 個人事業主が、生計を一にする親族が発行済株式の全部を保有する会社が所有する建物を賃借して事業所得を生ずべき事業の用に供している場合において、当該会社に支払った賃借料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することができる。

正解 2

問題難易度
肢17.6%
肢256.5%
肢318.6%
肢417.3%

解説

  1. 適切。事業所得の総収入金額には、取引先への貸付金利子や従業員への貸付金利子のように、事業の遂行に付随して生じた収入も含めます。所得税法に定める利子所得とは「預貯金及び公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得」なので、「取引先に対して貸し付けた貸付金の利子」は利子所得にはなりません。その他、事業遂行に関係のない知人に対する貸付金利子は、利子所得でも事業所得でもなく雑所得となります。
  2. [不適切]。使用可能期間1年未満または取得価額10万円未満の少額減価償却資産、取得価額が10万円以上20万円未満の一括償却資産を除き、個人が業務用の固定資産を譲渡した場合には事業所得ではなく譲渡所得となります。期中の減価償却費部分については事業上の経費にしても、譲渡所得上の取得費にしても構わないとされていますが、未償却残高を必要経費に算入することはできません。
    なお、法人の場合は利益が出れば固定資産売却益、損失が出れば固定資産売却損として仕訳します。
  3. 適切。生計を一にする配偶者その他の親族が、その個人事業主が営む事業に関連する経費を支出した場合、それらの金額はその個人事業主の必要経費に算入することができます。よって、当該親族が納付した当該土地に係る固定資産税相当額を必要経費に算入できます。
  4. 適切。個人事業主が、生計を一にする親族に対して支払った給料、賃料、借入金の利子等は原則として必要経費にできません。しかし、本肢では貸付を受けているのが個人ではなく法人名義の建物であり、家族とは別の主体への支払いですので、支払った家賃は必要経費に算入することができます。
したがって不適切な記述は[2]です。