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No.5

不動産を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算における取得費に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
2024年1月試験 問26
  1. 譲渡資産が、家屋などのように使用または期間が経過することによって価値が減少する資産である場合、取得費は、取得価額、設備費および改良費の合計額から、その減価償却費相当額を差し引いたものとされる。
  2. 相続または遺贈により資産を取得し、かつ、相続税を納めた者が、当該資産を相続の開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡した場合、当該資産の本来の取得費に、その者に課された相続税額のうち、譲渡した資産に対応する部分の金額として一定の方法により計算した金額を加算することができる。
  3. 個人が遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)により取得した資産を譲渡した場合、受遺者が取得した時の時価が当該資産の取得費となる。
  4. 取得費は、権利金を支払っていない借家権など、通常、取得費がないものとされる資産の譲渡を除き、収入金額の5%相当額とすることができる。

正解 3

問題難易度
肢121.2%
肢210.6%
肢356.5%
肢411.7%

解説

  1. 適切。建物などの取得費の計算では減価償却費相当額を控除します。取得費は、資産の取得に要した金額・設備費・改良費の合計なので、そこから取得日から譲渡の日までの期間の減価償却費を減じることになります(所得税法38条2項)。
  2. 適切。相続や遺贈により取得した財産を一定期間内に譲渡する場合、支払った相続税額のうち、その譲渡資産に係る部分の額を譲渡資産の取得費に加算できます(相続税の取得費加算の特例)。この特例は、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日(つまり、通常は相続開始日の翌日から3年10か月後)までの譲渡であることが適用要件となっています(措置法39条)。
  3. [不適切]。時価ではありません。個人が相続・贈与により資産を取得した場合、限定承認に係るものを除き、被相続人や贈与者の取得費と取得時期を引き継ぎます。したがって、遺贈者が取得したときの価額が取得費のベースとなります(所得税法60条1項)。
  4. 適切。取得費が不明の場合もしくは取得費が譲渡収入の5%未満の場合は、「譲渡収入×5%」の金額を概算取得費とすることができます。ただし、通常、譲渡所得の金額の計算上控除する取得費がないものとされる借家権や漁業権の譲渡には使うことができません(所基通38-16)。
したがって不適切な記述は[3]です。