法人税(全69問中58問目)

No.58

青色申告法人の欠損金の繰越控除等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
2015年10月試験 問31
  1. 欠損金の繰越控除の適用を受けるためには、欠損金額の生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していなければならない。
  2. 繰越控除の対象となる欠損金額がその事業年度開始日前の2以上の事業年度において生じている場合には、最も新しい事業年度において生じたものから順次損金の額に算入する。
  3. 資本金が1億円以下の一定の法人が2024年4月1日に開始する事業年度において欠損金額を損金の額に算入する場合、損金の額に算入することができる欠損金額は、繰越控除前の所得の金額の80%相当額が限度となる。
  4. 資本金が1億円以下の一定の法人は、青色申告書である確定申告書を提出した事業年度において生じた欠損金額について、原則としてその事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度の所得に繰り戻し、その事業年度の所得に対する法人税額の全部または一部を還付請求することができる。

正解 4

問題難易度
肢114.0%
肢25.1%
肢310.9%
肢470.0%

解説

青色申告法人の欠損金の繰越控除に関する出題ポイントは下表のとおりです。
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  1. 不適切。翌年以降は青色申告である必要はありません。欠損金の繰越控除の適用を受けるためには、欠損金額が生じた事業年度において青色申告であれば足り、その後の各事業年度は確定申告書を提出していれば白色申告であっても問題ありません。これは所得税における純損失の繰越控除でも同じです。
  2. 不適切。新しい事業年度ではありません。繰越欠損金が2以上の事業年度において生じている場合、最も古い事業年度において生じた欠損金額から順次損金に算入します。たとえば2019年と2021年に赤字となっている場合、先に2019年分の欠損金額から損金に算入していくということです。
  3. 不適切。80%が限度ではありません。繰越控除される欠損金額の限度は中小法人等とそれ以外で異なり、本肢のように資本金が1億円以下の中小法人等は、繰越控除前の所得金額、つまり100%まで欠損金額を損金に算入できます。これに対して、中小法人等以外の法人は、繰越控除前の所得金額の50%が損金算入の限度額となります。
  4. [適切]。資本金が1億円以下である等の要件を満たす法人は、前期・当期に連続して青色申告をしている等の要件を満たせば、当期に生じた欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(≒前事業年度)に繰り戻して、法人税額の還付を受けることができます(欠損金の繰戻し)。
したがって適切な記述は[4]です。