決算書と法人税申告書(全6問中6問目)

No.6

企業の安全性を分析する指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2015年1月試験 問33
  1. 当座比率は、その企業の短期の負債に対する支払能力をみるための指標であり、100%を超えることが望ましいが、当座資産に含まれる棚卸資産が実質的に不良在庫となっている場合には、注意する必要がある。
  2. 固定長期適合率は、企業の設備投資等の固定資産への投資が自己資本と長期の安定資金である固定負債によって、どの程度賄われているかを測定するための指標であるが、その値が適正であるか否かは業種別や企業の個別要因を勘案する必要がある。
  3. 自己資本比率は、その企業の総資本に対する自己資本の割合を示したものであるが、その水準は同業他社との比較と同時に、過去の数値と比較することのほか、自己資本を構成する利益剰余金の額から過去の業績が順調であったか否かなど、注意深い判断を行う必要がある。
  4. インタレスト・カバレッジ・レシオは、その値が高いほど財務的に余裕があると判断されるが、成長性のある企業では負債を増加させて事業を拡大する傾向があるため、企業の個別要因を勘案する必要がある。

正解 1

問題難易度
肢159.8%
肢215.9%
肢39.3%
肢415.0%

解説

  1. [不適切]。当座比率は、流動負債に対する当座資産の割合を示す指標で、値が高いほど短期支払い能力は高いと判断されます。
    ●当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100
    当座資産は、現金・預金、受取手形、売掛金、(一時所有の)有価証券の合計金額であり、棚卸資産は当座資産に含まれません。なお、流動資産には棚卸資産が含まれます。
  2. 適切。固定長期適合率は、固定資産への投資がどの程度安定資産で賄われているかを示す指標であり、以下の式で計算します。
    ●固定長期適合率(%)=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100
    100%以下であれば良いとされます。
  3. 適切。自己資本比率は、会社の財務上の安定性を見る指標であり、以下の式で計算します。
    ●自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100
    値が高いほど安全性が高いと評価されます。自己資本は資本金に過去の利益の積重ねである利益剰余金を加えたものなので、利益剰余金の推移を見ることで安定して利益を出しているかもわかります。
  4. 適切。インタレスト・カバレッジ・レシオは、営業利益から行われる借入金の利子の支払いが、どの程度余裕をもって行われているかを示す指標で、以下の式で計算します。
    ●インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=営業利益+受取利息+受取配当金支払利息+割引料
    値が高いほど財務的に余裕があると判断されます。
したがって不適切な記述は[1]です。