所得税の仕組み(全12問中8問目)

No.8

居住者に係る所得税における減価償却に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2020年9月試験 問25
  1. 取得して業務の用に供した減価償却資産の使用可能期間が1年未満である場合、取得に要した金額の多寡にかかわらず、その取得価額の全額をその業務の用に供した年分の必要経費に算入する。
  2. 所定の要件を満たす青色申告者が、取得価額が10万円以上50万円未満の減価償却資産を取得して業務の用に供した場合、その業務の用に供した年分における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円に達するまでは、その取得価額の全額をその年分の必要経費に算入することができる。
  3. 新たな種類の減価償却資産を取得し、「減価償却資産の償却方法の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなかった場合、取得した減価償却資産が建物や建物の附属設備および構築物でない限り、その償却方法は定率法となる。
  4. 現に採用している償却方法を変更しようとする場合には、新たな償却方法を採用しようとする年の前年の12月31日までに、変更理由を記載した「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢158.4%
肢210.7%
肢313.1%
肢417.8%

解説

  1. [適切]。使用可能期間1年未満または取得価額10万円未満である減価償却資産は、主要な業務以外の貸付けに供されたものを除き、その取得価額の全額をその年分の必要経費に算入することができます(所得税法令138条)。
  2. 不適切。50万円未満ではありません。所定の要件を満たす青色申告者が、取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産(貸付の用の供したものを除く)を取得して業務の用に供した場合、取得価額の合計額が300万円に達するまで取得価額の全額をその年分の必要経費に算入することができます(措置法67条の5)。
  3. 不適切。定率法は法定償却方法ではありません。所轄税務署長に「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することで償却方法を選択することができますが、届出をしなかった場合は定額法が適用されます。取得した減価償却資産が建物や建物附属設備、構築物の場合は「減価償却資産の償却方法の届出書」の提出の有無によらず定額法が適用になります(所得税法令120条の2)。
  4. 不適切。償却方法を変更する場合は、変更理由等を記載した「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を新たな償却方法を採用しようとする年の3月15日までに所轄税務署長に提出しなければなりません。青色申告の承認の原則的提出期限と同じ日と覚えましょう(所得税法令124条)。
したがって適切な記述は[1]です。