不動産の譲渡に係る税金(全42問中36問目)

No.36

「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
2015年10月試験 問40
  1. 本特例における譲渡資産は、譲渡前において事業の用に供されていた資産をいい、貸付けの用に供されていた不動産の場合は、貸付規模が5棟10室以上であるなど、事業的規模であるものに限って本特例の適用を受けることができる。
  2. 買換資産は、原則として譲渡資産を譲渡した日から譲渡した年の翌年12月31日までに取得する必要があり、譲渡資産を譲渡した年の前年中に先行取得していた場合は、本特例の適用を受けることができない。
  3. 譲渡資産の譲渡に係る対価の額が1億円を超える場合は、本特例の適用を受けることができない。
  4. 買換資産が土地等である場合に、その土地等の面積が譲渡資産である土地等の面積の5倍を超えるときは、原則として5倍を超える部分の面積に対応するものは本特例の適用を受けることができない。

正解 4

問題難易度
肢111.1%
肢26.2%
肢327.4%
肢455.3%

解説

事業用資産の買換えの特例は、個人が、事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等(譲渡資産)を譲渡し、一定期間内に特定の地域内にある土地建物等の特定の資産(買換資産)を取得して、取得日から1年以内に買換資産を事業の用に供したときに、譲渡益の60~90%(原則は80%)に対する課税を将来に繰り延べることができる特例です(措置法37条)。
譲渡価額≦買換資産の取得価額
譲渡収入金額=譲渡価額×20
譲渡価額>買換資産の取得価額
譲渡収入金額=譲渡価額-取得価額×80%
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特例の対象となるのは次の4つで、3つ目の「10年超保有資産の買換え、通称3号買換え」が最も多く利用されており、試験で問われるのもこれだけです。
  1. 航空機騒音障害区域の内から外への買換え
  2. 既成市街地等(①首都圏の既成市街地、②近畿圏の既成都市区域、③名古屋市)および人口集中地区の区域内における土地の計画的かつ効率的な利用に資する施策の実施に伴う買換え
  3. 所有期間10年を超える国内にある土地等・建物・構築物から、国内にある一定の土地等(300㎡以上に限る)・建物・構築物への買換え
  4. 日本船舶から日本船舶への買換え
  1. 不適切。本特例における「事業」とは、相当の対価を得て継続的に行っているものであればよいため、事業と称するに至らない規模で貸付されている不動産であっても適用を受けることができます(措置法令25条2項)。
  2. 不適切。前年の先行取得でも問題ありません。本特例は、資産を譲渡した年、その前年中および翌年中に資産を取得した場合に適用を受けることができます(措置法37条3項)。なお、前年中に取得した資産を買換資産として本特例の適用を受けるためには、買換資産を取得した年の翌年3月15日までに「先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書」を税務署長に提出する必要があります。
  3. 不適切。本特例に譲渡対価の制限はありません。1億円の制限があるのは居住用財産の買換え特例です。
  4. [適切]。買換資産が土地等であるときは、取得する土地等の面積が、原則として譲渡した土地等の面積の5倍以内でならず、5倍を超えた部分は本特例の適用対象外となります(措置法令25条14項)。
したがって適切な記述は[4]です。