不動産の取引(全44問中8問目)

No.8

不動産の売買取引における手付金に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。
  1. 宅地建物取引業者が自ら売主となる不動産の売買契約において、買主が宅地建物取引業者でない法人の場合、売主の宅地建物取引業者は、売買代金の額の2割を超える手付金を受領することができる。
  2. 不動産の売買契約において買主が売主に手付金を交付した場合、買主が契約の履行に着手する前であれば、売主はその倍額を買主に対して現実に提供することで、契約を解除することができる。
  3. いわゆるローン特約(融資特約)が付された不動産売買契約において、買主が同特約によって契約を解除する場合、通常、売主に交付した手付金は放棄しなければならず、手付金の返還を受けることはできない。
2022年9月試験 問35
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)

正解 1

問題難易度
肢157.3%
肢234.7%
肢34.0%
肢44.0%

解説

  1. 不適切。宅地建物取引業者が自ら売主となるときの規制は、素人である買主をプロである宅建業者との取引から保護する目的があるため、買主が宅地建物取引業者でなければ個人であっても法人であっても適用されます。よって、売主の宅地建物取引業者は売買代金の2割を超える手付を受領することはできません。
  2. 適切。買主から交付された手付は解約手付であると推定されます。解約手付が交付された場合、相手方が契約の履行に着手する前であれば、買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を現実に提供することで契約を解除することができます。本肢は、①買主が契約の履行に着手する前、②手付の倍額を現実に提供するという要件を満たすので、売主は契約を解除することができます。
  3. 不適切。ローン特約(融資特約)は、金融機関から融資を受けて代金を支払うことになっている不動産売買契約において、買主が金融機関から融資を受けられなかったときに無条件で契約を解除できる旨を定めた特約です。契約が解除された場合、契約の効力は当初からなかったことになり、各当事者は契約前の状態に戻す義務(原状回復義務)を負いますから、売主は受領した手付や前金等を買主に返還しなければなりません。
したがって適切なものは「1つ」です。