不動産に関する法令上の規制(全61問中3問目)

No.3

国土利用計画法第23条の届出(以下、「事後届出」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
2023年9月試験 問36
  1. 市街化区域内に所在する3,000㎡の土地の売買を行った場合、売主および買主は、その契約を締結した日から2週間以内に、共同して事後届出を行わなければならない。
  2. 売主が、市街化調整区域内に所在する12,000㎡の一団の土地を8,000㎡と4,000㎡に分割し、それぞれの土地について、別の買主と売買契約を締結した場合、4,000㎡の土地については事後届出の対象とならない。
  3. 都道府県知事は、事後届出に係る土地に関する権利移転等の対価の額が、当該土地の時価と著しく乖離しているときは、当該対価の額について修正すべきことを勧告することができる。
  4. 都道府県知事は、事後届出に係る土地の利用目的について勧告を受けた買主が、その勧告に従わなかった場合には、その旨およびその勧告の内容を公表しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢16.3%
肢241.3%
肢333.1%
肢419.3%

解説

国土利用計画法の「事後届出」とは、全国で一定規模以上の土地を取得する契約を締結した者は、その契約日から2週間以内に土地の所在地の都道府県知事に届出をしなければならないという規制です。届出には土地の利用目的などを記載することになっており、都道府県知事は必要に応じて土地利用に関する勧告等をすることができるようになっています。

「事後届出」が必要となる土地の取得面積は、次のとおりです。
  • 市街化区域 … 2,000㎡以上
  • 市街化調整区域・非線引き区域 … 5,000㎡以上
  • 都市計画区域外 … 10,000㎡以上
  1. 不適切。届出をするのは買主です。市街化区域では2,000㎡以上の土地取得契約の際に事後届出が必要なので、3,000㎡は事後届出の対象です。事後届出を行う義務があるのは権利取得者なので、本肢では買主がしなければなりません。また、事後届出の期限は契約日から起算して2週間以内なので、「起算して」がない点でも間違っています(国土利用計画法23条1項)。
  2. [適切]。事後届出では、各人に取得される面積を基準に届出が必要な契約かどうかを判定します。市街化調整区域では5,000㎡以上の土地取得契約の際に事後届出が必要なので、8,000㎡の部分を取得した買主は事後届出をする必要がある一方、4,000㎡の部分を取得した買主は基準面積未満なので事後届出をする必要はありません。
  3. 不適切。対価の額に関しては勧告できません。事後届出の内容には対価の額も含まれていますが、都道府県知事が勧告できるのは土地の利用目的に限られます(国土利用計画法24条)。なお、国土利用計画法には規制区域・注視区域・監視区域というさらに規制の厳しい区域があり、これらの区域で対価の額も勧告対象となります。
  4. 不適切。公表は義務ではありません。都道府県知事は、事後届出者に対し、土地の利用目的について勧告をすることができます。届出者が勧告に従わないときは、都道府県知事はその旨と勧告の内容を公表することができます(国土利用計画法26条)。
したがって適切な記述は[2]です。