贈与と法律(全4問中1問目)

No.1

贈与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2024年1月試験 問42
  1. 死因贈与は、遺贈に関する規定が準用されるため、全文、日付、氏名を自書し、押印した書面によって契約しなければならない。
  2. 遺言の内容と死因贈与の内容に矛盾する部分がある場合、遺贈が遺言による一方的な意思表示であるのに対し、死因贈与は贈与者と受贈者との合意によってなされる契約であるため、矛盾する部分は常に死因贈与の内容が優先される。
  3. 負担付贈与とは、受贈者に一定の給付をなすべき義務を負わせる贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。
  4. 書面によらない贈与は、贈与者または受贈者が一方的に解除することができるが、履行が終了した部分については解除することはできない。

正解 4

問題難易度
肢19.3%
肢210.2%
肢38.7%
肢471.8%

解説

  1. 不適切。書面による必要はありません。死因贈与にはその性質に反しない限り、遺贈の規定が準用されますが、準用される範囲は効力に関するものであって、遺書能力・方式・承認・放棄に関する規定は準用されないというのが一般的な解釈です。したがって、遺贈の形式要件である書面(遺言)は死因贈与には適用されず、贈与の原則どおり意思の合致のみによって成立します。
  2. 不適切。前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分は後の遺言で撤回したものとみなされます。死因贈与にもこの規定が準用されるため、先に遺言の内容と死因贈与の内容に矛盾する部分がある場合、日付が新しいほうの内容が優先されます(民法1023条)。
  3. 不適切。負担付贈与契約とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした贈与です。第三者などに対する債務の履行や、第三者に対する労務の提供などを条件にして財産を贈与する例のように、第三者がその負担からの利益を受ける負担付贈与契約も可能です。このとき、その負担が第三者の利益に帰すときは、第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになります。
    負担付贈与とは、受贈者に一定の給付をなすべき義務を負わせる贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。2022.9-42-2
    負担付贈与契約とは、受贈者に一定の負担を課す贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。2019.9-42-1
    負担付贈与契約とは、受贈者に一定の負担を課す贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。2015.10-42-3
  4. [適切]。口約束などのように書面によらない贈与契約は、その履行が終わっていない部分に限り、当事者双方から撤回することができます。履行済みの部分は、書面による・よらないを問わず撤回できません。
    42.png./image-size:436×135
したがって適切な記述は[4]です。