贈与と税金(全46問中15問目)

No.15

「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」(以下、「本制度」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2021年5月試験 問50
  1. 本制度の適用を受けるためには、受贈者は贈与者が事業の用に供している特定事業用資産のすべてを贈与により取得する必要があり、特定事業用資産の一部の贈与について本制度の適用を受けることはできない。
  2. 本制度の対象となる特定事業用資産は、贈与者の事業の用に供されていた宅地等、建物、棚卸資産および減価償却資産で、贈与者の前年分の事業所得に係る青色申告書に添付された貸借対照表に計上されているものとされている。
  3. 贈与により特定事業用資産を取得した受贈者が本制度の適用を受けた場合、当該受贈者が納付すべき贈与税額のうち、本制度の適用を受ける特定事業用資産の課税価格の80%相当額に対応する贈与税額の納税が猶予される。
  4. 本制度の適用を受けた受贈者が死亡し、相続が発生した場合、相続税額の計算上、本制度の適用を受けた特定事業用資産について「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることはできない。

正解 1

問題難易度
肢127.4%
肢220.8%
肢323.5%
肢428.3%

解説

  1. [適切]。本制度の適用を受けるためには、贈与者から特定事業用資産の全てを贈与で取得することが必要であり、一部だけの贈与では対象外になります。
  2. 不適切。本制度の対象となる特定事業用資産とは、先代事業者(贈与者)の事業の用に供されていた宅地等、建物、減価償却資産で、贈与の日の属する年の前年分の事業所得に係る青色申告書の貸借対照表に計上されていたものに限られます。本肢は対象外である「棚卸資産」を含めているので誤りです。
  3. 不適切。本制度の適用を受けると、特定事業用資産の課税価格に納税すべき贈与税や相続税の全額が納税猶予になります。
  4. 不適切。本制度の適用を受けた受贈者が死亡した場合、猶予税額は全額免除となります。納税猶予の対象だった特定事業用資産は、相続により取得したものとみなして贈与時の価格で相続財産に含める必要がありますが、受贈者の相続について本特例の適用を受けなければ、小規模宅地の特例を適用することが可能です。
したがって適切な記述は[1]です。