贈与と税金(全46問中3問目)

No.3

贈与に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年5月試験 問42
  1. 死因贈与は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。
  2. 定期贈与は、贈与者または受贈者の死亡により、その効力を失う。
  3. 負担付贈与とは、贈与契約締結の際に受贈者に一定の負担を課す贈与であり、受贈者の負担によって利益を受ける者は、贈与者以外の第三者や不特定多数の者とすることができる。
  4. 負担付贈与により土地の贈与を受けた者は、贈与税額の計算上、原則として、当該土地の通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した金額を贈与により取得したものとされる。

正解 1

問題難易度
肢179.6%
肢21.0%
肢311.4%
肢48.0%

解説

  1. [不適切]。遺贈の法的な性質は贈与者の一方的な意思表示により成立する単独行為ですが、死因贈与は当事者の意思の合致を成立の要件とする契約行為です。死因贈与には、その性質に反しない限り遺贈の規定が準用されますが、契約行為であることは変わりません。
  2. 適切。定期贈与は、贈与者が受贈者に対し、定期的に金銭等の財産を給付することを約束する契約です。定期贈与は、契約に別段の定めがない限り、贈与者または受贈者の死亡によりその効力を失います。これは定期贈与が当事者同士の人間関係を基礎としていることが多いためです。
  3. 適切。第三者が負担の利益を得るタイプの負担付贈与も存在します。例えば、父が母の介護を負担を条件として子に対して家をあげたり、Cに借金をしているAが、Bに対し財産をあげる代わりにCに借金を返すように要請するケースなどです。
  4. 適切。負担付贈与を受けた場合は、受贈した財産の時価(不動産以外は相続税評価額)から負担額を控除した額を贈与により取得したとみなされます。例えば、500万円の負担で時価3,000万円の土地をもらった場合には、贈与税の課税価格は「3,000万円-500万円=2,500万円」です(相基通21の2-4)。
したがって不適切な記述は[1]です。