相続と税金(全56問中44問目)

No.44

相続税法における死亡保険金の非課税金額の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2016年9月試験 問46
  1. 契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている相続人に対し、死亡保険金とともに支払われる積立配当金の額は、相続税の課税対象となり、死亡保険金の非課税金額の規定が適用される。
  2. 契約者および被保険者を相続人とする生命保険契約の保険料を被相続人が負担していた場合における生命保険契約に関する権利は、契約者が相続または遺贈によって取得したものとみなして相続税の課税対象となるが、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。
  3. 契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている相続人が相続の放棄をした場合、その者が受け取る死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。
  4. 契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている相続人が、遺産分割により死亡保険金以外の財産をいっさい取得しなかった場合、その者が受け取る当該保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。

正解 4

問題難易度
肢14.1%
肢212.9%
肢312.6%
肢470.4%

解説

  1. 適切。死亡保険金とともに支払われる積立配当金の額は、みなし相続財産として相続税の課税対象になり、死亡保険金とあわせて非課税金額の規定の適用を受けることができます。その他、割戻金、前納保険料、未経過保険料についても本規定の適用対象となります(相基通3-8)。
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険において、子が相続の放棄をした場合、当該死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができない。2022.5-46-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険契約において、子が相続の放棄をした場合であっても、当該死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができる。2021.9-48-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険契約において、子が死亡保険金のほかに、払戻しによる前納保険料を受け取った場合、当該前納保険料は相続税の課税対象となる。2021.9-48-2
    相続の放棄をした被相続人の配偶者が、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金を受け取るなど、遺贈により取得した財産があるときは、本制度の適用を受けることができる。2017.9-47-3
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている相続人が、遺産分割により死亡保険金以外の財産をいっさい取得しなかった場合、その者が受け取る当該保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。2016.9-46-4
    契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、相続の放棄をした者が受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象となる。2015.10-46-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、被相続人の子で相続の放棄をした者が受け取った死亡保険金は、保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができない。2014.1-47-1
  2. 適切。契約者・被保険者が相続人の生命保険契約の保険料を被相続人が負担していた場合、その生命保険契約はみなし相続財産として相続税の課税対象となります(解約返戻金相当額で評価する)。本規定は被相続人の死亡により支払われた死亡保険金を対象とするので、生命保険契約自体は適用対象となりません。
    退職年金を受給している者の死亡により、その相続人が当該年金を継続して受給することとなった場合、当該年金の受給に関する権利は、その相続人が相続または遺贈により取得したものとみなされ相続税の課税対象となる。2024.1-44-4
    老齢基礎年金の受給権者であるBさんが死亡し、その死亡後に支給期が到来するBさんの年金をBさんの配偶者が受け取った場合、当該年金は、相続税の課税対象とならない。2023.1-45-2
  3. 適切。死亡保険金の非課税金額の規定は、相続人が死亡保険金を取得した場合に適用されます。このため、相続を放棄した者には本規定の適用はありません。相続を放棄した者が受け取った死亡保険金は、本規定の適用上なかったものとされます(相基通12-8)。
    死亡保険金受取人となっている相続人が相続の放棄をした場合、その者が受け取る死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。2023.9-46-1
    死亡保険金受取人となっている相続人が、遺産分割協議の結果、死亡保険金以外の財産をいっさい取得しなかった場合、その者が受け取った死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定が適用されない。2021.5-46-2
    死亡保険金受取人となっている相続人が、遺産分割協議の結果、死亡保険金以外の財産をいっさい取得しなかった場合であっても、その者が受け取った死亡保険金は、死亡保険金の非課税金額の規定が適用される。2018.9-45-2
    死亡保険金受取人となっている相続人が相続の放棄をした場合、その者が受け取る死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。2018.9-45-3
  4. [不適切]。相続放棄により財産を取得しなかった者は本規定の適用を受けられませんが、遺産分割協議の結果、相続財産を取得しなかった相続人は、取得した死亡保険金について本規定の適用を受けることができます(相続税法12条1項5号)。
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険において、子が相続の放棄をした場合、当該死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができない。2022.5-46-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険契約において、子が相続の放棄をした場合であっても、当該死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができる。2021.9-48-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険契約において、子が死亡保険金のほかに、払戻しによる前納保険料を受け取った場合、当該前納保険料は相続税の課税対象となる。2021.9-48-2
    相続の放棄をした被相続人の配偶者が、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金を受け取るなど、遺贈により取得した財産があるときは、本制度の適用を受けることができる。2017.9-47-3
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている相続人に対し、死亡保険金とともに支払われる積立配当金の額は、相続税の課税対象となり、死亡保険金の非課税金額の規定が適用される。2016.9-46-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、相続の放棄をした者が受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象となる。2015.10-46-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、被相続人の子で相続の放棄をした者が受け取った死亡保険金は、保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができない。2014.1-47-1
したがって不適切な記述は[4]です。