相続と税金(全56問中51問目)

No.51

相続税の物納に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2015年1月試験 問47
  1. 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた財産を物納する場合の収納価額は、原則として、当該特例適用後の価額となる。
  2. 貸家建付地および貸宅地は、管理処分不適格財産として取り扱われ、物納に充てることはいっさいできない。
  3. 物納に充てることができる財産の種類には申請順位があり、第1順位は金銭に換価しやすい国債、地方債、上場株式等の金融商品となる。
  4. 延納を選択した者が物納に変更した場合、当該物納に係る特定物納申請財産の収納価額は、原則として相続税の課税価格の計算の基礎となった財産の価額である。

正解 1

問題難易度
肢160.9%
肢24.2%
肢327.5%
肢47.4%

解説

  1. [適切]。「小規模宅地等の評価減の特例」の特例の適用を受けた相続財産を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額で物納できるというのが原則です。ただし、延納から物納へ変更(特定物納)の場合には、管理処分不適格財産と同様に「小規模宅地等の評価減の特例」の適用を受けた財産を物納に充てることはできません(措置法69条の4第9項)。
    「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた財産を物納する場合の収納価額は、原則として、当該特例適用後の価額となる。2014.1-45-3
  2. 不適切。貸家建付地および貸宅地は、管理処分不適格財産および物納劣後財産のいずれにも該当しません。自用地と同じく所定の要件を満たせば物納財産とすることができます。
    取引相場のない株式(非上場株式)は、譲渡制限株式であるかどうかにかかわらず、管理処分不適格財産として取り扱われ、物納に充てることができない。2015.9-48-3
  3. 不適切。第1順位には不動産・船舶も含まれます。相続税において、物納に充てることができる財産の種類には申請順位があります。第1順位は「不動産・船舶・国債・地方債・上場株式等」、第2順位は「非上場株式等」、第3順位は「動産」と規定されています。第1順位は金融商品に限られず、不動産と船舶が含まれます(相続税法41条2項)。
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    物納に充てることができる財産は、相続税の課税価格の計算の基礎となった財産であるが、その種類による申請順位があり、不動産は第1順位、国債や地方債、上場株式は第2順位、動産は第3順位とされている。2021.5-47-2
    物納に充てることができる財産には、その種類による申請順位があり、不動産や国債・地方債は第1順位、上場株式は第2順位、動産は第3順位とされている。2019.9-46-3
    物納に充てることができる財産には、その種類による申請順位があり、不動産や上場株式は第1順位、非上場株式は第2順位、動産は第3順位とされている。2018.9-46-2
  4. 不適切。相続税の課税価格ではありません。延納の許可を受けた相続税額について、その後に延納条件を履行することが困難となった場合には、申告期限から10年以内に限り、分納期限が未到来の税額部分について延納から物納への変更を行うことができます。これを「特定物納」といいます。特定物納に係る財産の収納価額は、物納申請時の時価となります(相続税法48条の2第5項)。
    相続税の延納の許可を受けた者が、その後の資力の変化等により物納に変更する場合、当該物納に係る財産の収納価額は、原則として、相続税の課税価格の計算の基礎となった当該財産の価額となる。2023.9-47-3
    相続税の延納の許可を受けた者が、その後の資力の変化等により物納に変更する場合、当該物納に係る財産の収納価額は、原則として、相続税の課税価格の計算の基礎となった当該財産の価額となる。2019.9-46-4
    相続税の延納の許可を受けた者が、その後の資力の変化等により物納に変更する場合において、相続税額の計算上、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けている財産は、物納に充てることができない。2018.9-46-4
    相続税の納付方法として延納を選択した者が物納に変更した場合、当該物納に係る特定物納申請財産の収納価額は、相続税の課税価格の計算の基礎となった相続財産の価額ではなく、原則として、当該特定物納に係る申請の時の価額となる。2014.1-45-4
したがって適切な記述は[1]です。