相続財産の評価(不動産以外)(全20問中6問目)

No.6

取引相場のない株式の相続税評価における特定の評価会社に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2022年9月試験 問48
  1. 財産評価基本通達上の規模区分の定めにより、中会社に区分される会社で、課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める土地等の価額の合計額の割合が70%以上である評価会社は、土地保有特定会社に該当する。
  2. 課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める株式等の価額の合計額の割合が50%以上である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、株式等保有特定会社に該当する。
  3. 課税時期において開業後3年未満である特定の評価会社の株式は、同族株主以外の株主等が取得した場合、配当還元方式により算出した価額によって評価することはできず、純資産価額方式により算出した価額によって評価しなければならない。
  4. 課税時期において休業中である特定の評価会社の株式は、同族株主以外の株主等が取得した場合、原則として、配当還元方式により算出した価額によって評価する。

正解 2

問題難易度
肢115.1%
肢237.9%
肢329.1%
肢417.9%

解説

  1. 不適切。土地保有特定会社とは、相続税評価額ベースの資産総額に対する土地等の価額の割合が一定基準以上である会社です。大会社では70%以上、中会社では90%以上、小会社は、純資産額が卸売業で20億円以上、それ以外の業種では15億円以上あり、かつ、土地保有割合が70%を超えるときに土地保有特定会社と判定されます。
  2. [適切]。株式保有特定会社とは、相続税評価額ベースの資産総額に対する株式等の価額の割合が50%以上である会社です。大・中・小会社による区別はありません。
    課税時期において評価会社が有する資産の合計額(相続税評価額)に占める株式等の価額の合計額(相続税評価額)の割合が50%以上である場合、同族株主が取得した当該会社の株式は、会社の規模にかかわらず、原則として純資産価額方式により評価する。2023.9-49-4
    課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める土地等の価額の合計額の割合が90%以上である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。2019.1-49-1
    課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める株式等の価額の合計額の割合が50%以上である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。2019.1-49-2
    課税時期において評価会社が有する資産の合計額(相続税評価額)に占める株式等の価額の合計額(相続税評価額)の割合が50%以上である場合、同族株主が取得した当該会社の株式は、会社の規模にかかわらず、原則として純資産価額方式により評価する。2016.1-48-4
  3. 不適切。開業後3年未満の会社の株式は、会社の業種や規模にかかわらず、同族株主が取得した場合には純資産価額方式、同族株主以外の株主が取得した場合には配当還元方式によって評価します。本肢は「同族株主以外⇒純資産価額方式」と説明しているので誤りです(財評通189-4)。
    休業中であることにより特定の評価会社に該当する会社の株式を同族株主以外の株主が取得した場合、配当還元方式により計算した金額によって評価する。2024.1-48-4
    休業中であることにより特定の評価会社に該当する評価会社の株式の価額は、同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合であっても、配当還元方式により算出した価額によって評価することはできない。2019.1-49-4
  4. 不適切。開業前または休業中である評価会社の株式は、取得した者が同族株主であるかどうかにかかわらず純資産価額方式によって評価します。休業中等の場合、正当と認められる額の配当が支払われないことがあり、直前2年間の配当額をベースに算定する配当還元方式を用いるのは不適当だからです(財評通189-5)。
    同族株主がいる会社の株式を同族株主以外の株主が取得した場合、原則的評価方式により計算した金額によって評価することはできず、特例的評価方式である配当還元方式により計算した金額によって評価する。2024.1-48-3
したがって適切な記述は[2]です。