FP1級過去問題 2017年1月学科試験 問30(改題)

問30

「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(以下、「賃上げ促進税制」という)」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 賃上げ促進税制の適用対象法人には、資本金の額または出資金の額が1億円を超える青色申告法人も含まれる。
  2. 2023年4月1日以後に開始する事業年度において賃上げ促進税制の適用を受けるためには、基準年度の給与総額と比べて、適用年度において一定割合増加していることが要件の1つとされている。
  3. 中小企業者が賃上げ促進税制の適用を受ける場合の税額控除限度額は、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額の20%相当額となる。
  4. 賃上げ促進税制と「地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除」(雇用促進税制)は、同一事業年度において重複して適用を受けることができない。

正解 1

問題難易度
肢140.4%
肢231.9%
肢314.3%
肢413.4%

解説

  1. [適切]。中小法人等と大規模法人では適用要件が異なりますが、青色申告書を提出する法人であれば、資本金の額が1億円を超える法人も本制度の適用を受けられます。
    本制度の適用対象となる法人は、青色申告法人のうち、指定業種に属する事業を行っており、かつ、資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人とされている。2019.5-30-1
  2. 不適切。2018年(平成30年)度の改正により、基準年度からの給与等支給額の増加割合の比較は廃止となりました。現行制度では単純に前年度の給与額と比較したときの増加割合で判断します。なお、従来の制度では基準年度(H24年度)と比較したとき、H27.3.31以前については2%、H27.4.1~H28.3.31までは3%、H28.4.1~H30.3.31までは5%の増加が求められていました。
    2023年4月1日以後に開始する事業年度において、賃上げ促進税制の適用を受けるためには、基準年度の給与総額と比べて、適用年度において一定割合増加していることが要件の1つとされている。2018.1-30-2
    本制度の適用を受けるためには、2023年4月1日以後に開始する事業年度においては、基準事業年度と比較して、雇用者給与等支給額を3%以上増加させることが要件となる。2014.9-32-3
  3. 不適切。中小企業者は、雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加した場合に当該増加額の15%、2.5%以上増加した場合に当該増加額の30%の法人税の税額控除を受けられ、さらに教育訓練費が前年度より10%の要件を満たせば10%の税額控除が上乗せされます。税額控除割合は最大で40%となっています。
    2023年4月1日以後に開始する事業年度において、賃上げ促進税制の適用を受けることによる税額控除額は、最大で雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額の20%相当額となる。2018.1-30-4
  4. 不適切。雇用促進税制は、地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定を受けた事業者が、本社機能の全部または一部を地方に移転したり、地方拠点を強化したりする際に、地方事業所における雇用者数の増加に応じて一定額の税額控除を受けられる特例です。一定の調整がありますが、賃上げ促進税制と雇用促進税制は併用可能です
したがって適切な記述は[1]です。
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