FP1級過去問題 2018年9月学科試験 問4

問4

公的年金の各種加算に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 夫が受給している老齢厚生年金の加給年金対象者である妻が老齢基礎年金の支給を繰り上げた場合、夫の老齢厚生年金に加算されていた加給年金額は打ち切られ、妻が受給する繰上げ支給の老齢基礎年金に振替加算が加算される。
  2. 振替加算が加算された老齢基礎年金を受給している妻が夫と離婚した場合、離婚した日の属する月の翌月分の年金額から振替加算の支給は打ち切られる。
  3. 障害等級2級に該当して障害厚生年金を受給している者が婚姻し、所定の要件を満たす配偶者を有することとなった場合は、所定の手続により、婚姻した日の属する月の翌月分から当該受給権者の障害厚生年金に加給年金額が加算される。
  4. 中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者が60歳に達した場合、中高齢寡婦加算の支給は打ち切られるが、その者が1961年4月1日以前に生まれた者であるときは、遺族厚生年金に経過的寡婦加算が加算される。

正解 3

問題難易度
肢17.0%
肢210.1%
肢366.5%
肢416.4%

解説

  1. 不適切。振替加算は、加給年金額の対象配偶者が65歳になり加給年金が打ち切られた後、一定条件のもとでその配偶者(1966年(昭和41年)4月1日以前生まれに限る)の老齢基礎年金に上乗せされる給付です(昭和60年改正法附則14条)。配偶者が繰上げを選択しても加給年金額の加算はその配偶者が65歳になるまで続き、配偶者が65歳に達すると加給年金額が停止する代わりに、翌月から配偶者の老齢基礎年金に振替加算が支給されます。
    加給年金額と振替加算の切り替わりは繰上げの有無にかかわらず、配偶者が65歳に達したときなので本肢は誤りです。
    夫が受給している老齢厚生年金の加給年金対象者である妻が老齢基礎年金の支給を繰り上げた場合、夫の老齢厚生年金に加算されていた加給年金額は打ち切られ、妻が受給する繰上げ支給の老齢基礎年金に振替加算が加算される。2016.1-4-2
  2. 不適切。65歳到達時に振替加算の支給要件を満たしていれば、その後配偶者が死亡したり離婚したりしても本人が死亡するまで振替加算の支給は続きます。
    振替加算が加算された老齢基礎年金は、その受給権者が障害基礎年金や障害厚生年金の支給を受けることができるときは、その間、振替加算に相当する部分の支給が停止される。2020.1-4-3
  3. [適切]。障害等級1級・2級の受給者(3級は×)で、生計を一にする65歳未満の配偶者がいる場合または婚姻した場合には、障害厚生年金の額に配偶者加給年金額が支給されます(厚年法50条の2)。
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    障害等級1級または2級の障害厚生年金を受給している者が、婚姻により所定の要件を満たす65歳未満の配偶者を有するに至った場合、婚姻の日の属する月の翌月分から障害厚生年金の額に加給年金額が加算される。2023.1-5-4
    障害等級2級に該当して障害厚生年金の支給を受けている者が婚姻し、所定の要件を満たす配偶者を有するに至った場合は、所定の手続により、その至った日の属する月の翌月分から当該受給権者の障害厚生年金に加給年金額が加算される。2021.5-5-3
    障害厚生年金の加給年金額は、障害等級1級または2級に該当して障害厚生年金の受給権を取得した当時、受給権者が所定の要件を満たす配偶者を有するときに加算されるため、障害厚生年金を既に受給している者が婚姻した場合、その配偶者は加給年金対象者とならない。2020.1-5-4
    老齢厚生年金を受給している者(厚生年金保険の被保険者期間が240月以上である者)が婚姻し、その者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有することとなった場合は、婚姻した月の翌月からその者の老齢厚生年金に加給年金額が加算される。2016.1-4-1
    障害厚生年金の受給権者にその権利を取得した当時、その者によって生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、当該受給権者の障害の程度にかかわらず、当該受給権者の障害厚生年金に配偶者に係る加給年金額が加算される。2016.1-4-3
  4. 不適切。中高齢寡婦加算の支給期間は40歳以上65歳未満なので、支給が打ち切られるのは妻が65歳になったときです(厚年法62条)また、経過的寡婦加算の対象は1956年(昭和31年)4月1日以前生まれの妻ですので、この点でも間違いです(厚年法73条)。
したがって適切な記述は[3]です。