FP1級過去問題 2018年9月学科試験 問10

問10

外貨建て終身保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 外貨建て終身保険(平準払い)は、毎回払い込む保険料が一定額の外貨で設定される保険であり、保険料が一定額の円貨で設定されるものはない。
  2. 外貨建て終身保険(平準払い)の保険金は、外貨による支払となり、支払時の為替相場により保険金の円貨額は影響を受けるが、円換算支払特約を付加することにより、為替変動リスクを回避することができる。
  3. 外貨建て終身保険は、市場価格調整(MVA)機能を有しないものについても、保険業法における特定保険契約に該当し、その販売・勧誘については金融商品取引法に規定された行為規制の一部が準用される。
  4. 外貨建て終身保険(一時払い)を解約し、解約差益が生じた場合、解約差益のうち保険差益に相当する部分の金額は一時所得として所得税の課税対象となり、為替差益に相当する部分の金額は雑所得として所得税の課税対象となる。

正解 3

問題難易度
肢16.1%
肢212.7%
肢369.6%
肢411.6%

解説

  1. 不適切。外貨建て保険の保険料を平準払いで支払う場合、外貨で一定額を支払うタイプ、円貨で一定額を支払うタイプの両方があります。後者のタイプはドルコスト平均法により為替変動リスクを低減できるメリットがあります。
    全期間の保険料が一定の支払方法
  2. 不適切。外貨建て終身保険に付加する円換算支払特約とは、保険金を円貨で受け取るために付加する特約で、為替リスクを回避するわけではありません。契約時の円建ての死亡保険金額は、外貨ベースの死亡保険金額を契約時点での為替レートで円換算したものですので、受取時の為替相場によっては当初予定していた死亡保険金額から増減することもあります。
    外貨建終身保険(平準払い)について、円換算支払特約を付加することで、死亡保険金や解約返戻金を円貨で受け取ることが可能になり、為替変動リスクを軽減する効果が期待できる。2023.1-10-3
    外貨建終身保険(平準払い)の保険金は、外貨による受取りとなり、受取時の為替相場により保険金の円換算額は影響を受けるが、円換算支払特約を付加することにより、為替変動リスクを回避することができる。2021.5-10-4
  3. [適切]。変額保険や外貨建て保険等の市場リスクを有する保険契約は、保険業法における「特定保険契約」に該当し、販売・勧誘する際は、適合性の原則等の金融商品取引法の規制が一部準用されます(保険業法300条の2)。市場価格調整(MVA)は、市場金利に応じた運用資産(債券等)の価格変動に伴って解約返戻金額が増減する仕組みで、この仕組みを有する保険契約も「特定保険契約」に該当します。
    外貨建て保険であればそれだけで「特定保険契約」ですので、市場価格調整(MVA)機能を有していなくても金融商品取引法の行為規制が適用されます。
    外貨建て保険の販売・勧誘については、保険業法により、適合性の原則など、金融商品取引法に規定された行為規制の一部が準用される。2016.9-12-4
  4. 不適切。平準払いであれば、為替差益は雑所得として課税されますが、一時払いの外貨建て終身保険を解約したときは、為替差益も保険差益と同様に一時所得として課税されます。
    外貨建変額個人年金保険(10年確定年金)を保険期間の初日から10年経過後に解約し、解約差益が生じた場合、その解約差益のうち為替差益に相当する部分の金額は雑所得として所得税の課税対象となる。2019.5-12-4
    一時払変額個人年金保険(終身年金)を保険期間の初日から5年以内に解約し、解約差益が生じた場合、いわゆる金融類似商品として、その解約差益は源泉分離課税の対象となる。2017.1-12-1
    外貨建て変額個人年金保険(10年確定年金)を保険期間の初日から10年経過後に解約し、解約差益が生じた場合、解約差益のうち保険差益に相当する部分の金額は一時所得として所得税の課税対象となり、為替差益に相当する部分の金額は雑所得として所得税の課税対象となる。2017.1-12-2
    一時払変額個人年金保険(終身年金)を保険期間の初日から5年以内に解約した場合、いわゆる金融類似商品として、その解約差益は源泉分離課税の対象となる。2016.1-11-1
したがって適切な記述は[3]です。