FP1級過去問題 2019年1月学科試験 問23

問23

消費者契約法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 事業者が消費者契約の勧誘に際し、当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の重要な利益についての損害または危険を回避するために通常必要であると判断される事情について、事実と異なることを告げ、消費者がその内容が事実であると誤認をし、それによって当該消費者契約の申込みをしたときは、消費者はこれを取り消すことができる。
  2. 事業者が消費者契約の勧誘に際し、当該消費者契約の目的となるものの分量が当該消費者にとっての通常の分量を著しく超えるものであることを知っていた場合において、消費者がその勧誘により当該消費者契約の申込みをしたときは、消費者はこれを取り消すことができる。
  3. 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる消費者契約の条項や、消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に契約不適合があることにより生じた消費者の解除権を放棄させる消費者契約の条項は、いずれも無効である。
  4. 消費者が消費者契約法に基づく消費者契約の取消権を行使する場合、行使することができる期間は、消費者が追認をすることができる時から6カ月間または当該消費者契約の締結の時から5年間とされている。

正解 4

問題難易度
肢12.3%
肢24.6%
肢312.7%
肢480.4%

解説

  1. 適切。消費者契約法に関し、契約を取り消すことができる不当な勧誘に「不実告知」があります。不実告知とは、重要事項について事実とは異なることを告げることで、消費者がその内容が事実であると誤認したときは、この契約を取り消すことができます(消費者契約法4条1項1号)。
  2. 適切。消費者契約法に関し、契約を取り消すことができる不当な勧誘に「過量契約」があります。過量契約とは、日常の生活において必要とされる分量や回数などを著しく超える契約で、事業者が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた場合、消費者はこの契約を取り消すことができます(消費者契約法4条4項)。
  3. 適切。事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項や、有償契約である場合に、契約の目的物に契約不適合があることにより生じた消費者の解除権を放棄させる条項は、買主に著しく不利なので無効になります(消費者契約法8条)。
  4. [不適切]。消費者契約法は、勧誘時の不当な勧誘により消費者は契約を取り消すことができます。この取消権を行使することができる期間は以下の通りです(消費者契約法7条1項)。
    • 消費者が追認をすることができる時から1年間
    • 当該消費者契約の締結の時から5年間
    追認できるときから1年となったのは2017年(平成29年)6月に施行された改正消費者契約法からです。それ以前は6カ月でした。
したがって不適切な記述は[4]です。