FP1級過去問題 2021年5月学科試験 問47

問47

相続税の延納および物納に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 延納税額が100万円を超える場合、延納の許可を受けるにあたって、相続または遺贈により取得した財産のなかから、延納税額および利子税の額に相当する価額の財産を担保として提供しなければならない。
  2. 物納に充てることができる財産は、相続税の課税価格の計算の基礎となった財産であるが、その種類による申請順位があり、不動産は第1順位、国債や地方債、上場株式は第2順位、動産は第3順位とされている。
  3. 物納の許可限度額を超える価額の財産による物納が許可された場合に、許可に係る相続税額よりも物納許可財産の収納価額が上回ることとなったときには、差額が金銭により還付される。
  4. 相続税の延納の許可を受けた者が、その後の資力の変化等により延納を継続することが困難となった場合、相続税の申告期限から5年以内に限り、その納付を困難とする金額を限度として、納付方法を物納に変更することができる。

正解 3

問題難易度
肢111.0%
肢27.8%
肢361.0%
肢420.2%

解説

  1. 不適切。延納税額および利子税の額に相当する担保を提供しなければならないのは、延納税額が100万円超または延納期間が3年超である場合ですが、担保は相続または遺贈により取得した財産に限らず、相続人の財産からでも可能です。
  2. 不適切。相続税において、物納に充てることができる財産の種類には申請順位があります。第1順位は「不動産・船舶・国債・地方債・上場株式等」、第2順位は「非上場株式等」、第3順位は「動産」と規定されています。
  3. [適切]。物納財産の選定に当たっては申請税額を超過しない財産を選ぶことが原則ですが、その物納財産の価額が納付すべき相続税額を上回る場合に、物納が許可されたときは、納付すべき相続税額と財産の価額の差額が超過物納として金銭で還付されることになります。
  4. 不適切。延納の許可を受けた相続税額について、その後に延納条件を履行することが困難となった場合には、申告期限から10年以内に限り、分納期限が未到来の税額部分について延納から物納への変更を行うことができます。このとき物納に係る財産の収納価額は、物納申請時の時価となります。
したがって適切な記述は[3]です。