FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問14

問14

個人が契約する任意の自動車保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 自動車保険におけるテレマティクス保険とは、走行距離や運転者の運転の特性(アクセルやブレーキの操作状況などの安全運転指向等)の情報を取得・評価して保険料に反映させる保険である。
  2. 記名被保険者が運転する被保険自動車の事故により、同乗していた記名被保険者の配偶者がケガをした場合、その治療費等は、対人賠償保険により補償される。
  3. ノンフリート等級別料率制度では、前年度契約において対人・対物賠償保険から保険金が支払われた場合、保険契約の更新時に等級が3つ下がり、前年度契約において盗難・台風・落書き等により車両保険から保険金が支払われた場合、保険契約の更新時に等級が1つ下がる。
  4. ノンフリート等級別料率制度では、自動車を譲渡して自動車保険契約を解約する際に中断証明書を取得した場合、中断後に新たに契約する自動車保険の契約始期日が解約日から10年以内であれば、中断前の契約の等級を引き継ぐことができる。

正解 2

問題難易度
肢15.9%
肢268.0%
肢314.3%
肢411.8%

解説

  1. 適切。テレマティクスとは、通信(Telecommunication)と情報科学(Informatics)から作られた造語で、移動体で通信システムを利用し、サービスを提供することの総称です。自動車保険のテレマティクス保険は、自動車に設置した端末で計測した走行距離や運転速度・ブレーキのかけ方などの運転情報を保険会社が通信で取得し、その情報から運転者の事故リスクを分析して保険料を算定するなどの仕組みをもつ保険です。安全運転をすれば保険料が安くなり、安全運転への意識が向上するので、それにより社会全体の交通事故率の低下、事故による渋滞の減少という効果が見込まれます。
  2. [不適切]。対人賠償保険が補償するのは、自動車事故で他人を死傷させた場合の損害賠償責任なので、身内である運転者自身・父母・配偶者・子に対する損害については補償対象外になります(兄弟姉妹は補償対象となることに注意)。よって、被保険自動車の事故により配偶者がケガをしたり死亡したりしても、こちら側の対人賠償責任保険から保険金が支払われることはありません。
  3. 適切。対人・対物保険を使った場合は翌年の等級は3等級ダウンとなります。車両保険を使った場合も原則として3等級ダウンですが、自然災害、落書・いたずら、飛来物その他偶発的な事故によって生じた車両損害は1等級ダウン事故となります。
    自動車保険のノンフリート等級別料率制度において、対人・対物賠償の保険事故があった後に更新する場合は等級が2つ下がり、盗難・台風・落書き等により車両保険から保険金を受け取った場合は等級が1つ下がる。2022.1-13-3
  4. 適切。自動車を手放すなどで自動車保険を更新しなくなったときは、保険会社に中断証明書を発行してもらうことにより、最大で10年間等級を維持することができます。
    自動車を譲渡して自動車保険契約を解約する際に、中断証明書を取得すれば、中断後に、新たに契約する自動車保険の契約始期日が解約日から5年以内である場合に限り、中断前の契約の等級を引き継いで再開することができる。2022.1-13-4
    自動車を売却や廃車等をして自動車保険契約を一時的に中断した際は、中断証明書を取得すれば、所定の要件を満たすことを条件に、中断後の新契約に中断前の契約の等級を適用できる。2014.9-13-2
したがって不適切な記述は[2]です。