FP1級過去問題 2023年5月学科試験 問41

問41

不動産の投資判断手法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. DCF法は、連続する複数の期間に発生する純収益および復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引いて、それぞれを合計して対象不動産の収益価格を求める手法である。
  2. NPV法は、対象不動産に対する投資額と現在価値に換算した対象不動産の収益価格を比較して投資判断を行う手法であり、NPVがゼロを上回る場合、その投資は投資適格であると判断することができる。
  3. IRR法は、対象不動産の内部収益率と対象不動産に対する投資家の期待収益率を比較して投資判断を行う手法であり、期待収益率が内部収益率を上回る場合、その投資は投資適格であると判断することができる。
  4. 直接還元法は、一期間の純収益を還元利回りにより還元して対象不動産の収益価格を求める手法であり、一期間の純収益が1,000万円、還元利回りが5%である場合、収益価格は2億円となる。

正解 3

問題難易度
肢18.4%
肢216.9%
肢362.0%
肢412.7%

解説

  1. 適切。DCF法は、各年の純収益(総収入-必要経費)と、将来の転売価格である復帰価格を、発生時期に応じて現在価値に割り引いて、その現在価値を合計して対象不動産の収益価格を求める手法です。
  2. 適切。NPV法(正味現在価値法)は、投資が生み出す収益と投資額について、それぞれの発生時期に応じて現在価値に割り引いた額を比較して投資判断を行います。NPV(収益の現在価値-投資額の現在価値)がゼロを上回る場合に、その投資は有利であると判定します。
  3. [不適切]。期待収益率が内部収益率を上回っている場合(期待収益率>内部収益率)には、投資家の期待よりも少ない利益率しか得られないということなので、その投資は不利と判断されます。
    IRR法(内部収益率法)では、投資が生み出す収益の現在価値が投資額と同じになる割引率(内部収益率)を求め、その内部収益率が投資家の期待収益率を上回れば投資価値があると判断し、下回れば投資価値がないと判定します。
  4. 適切。直接還元法は、対象不動産の一期間の純収益を還元利回りによって還元することで収益価格を求める手法です。
    ●対象不動産の収益価格=一期間の純収益還元利回り
    本肢では、純収益が1,000万円、還元利回りが5%なので、収益価格は「1,000万円÷5%=2億円」と算定されます。
したがって不適切な記述は[3]です。