FP1級過去問題 2024年1月学科試験 問9

問9

保険業法および金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 書面の交付またはこれに代替する電磁的方法により、顧客に情報の提供を行うにあたって、同一媒体を用いて一体で「契約概要」および「注意喚起情報」を記載する場合、それぞれに記載すべき内容を明瞭に区分して表示しなければならない。
  2. 保険期間が1カ月以内であり、かつ、被保険者が負担する保険料の額が1,000円以下である保険契約の募集においては、顧客の意向の把握を要しない。
  3. 特定保険契約の募集に際しては、加入の動機やニーズ、資産、収入等の財産の状況だけでなく、投資性金融商品の購入経験の有無およびその種類等、顧客の属性等の的確な把握を行うことが求められる。
  4. 保険会社においては、「自然災害」「営業上のトラブル」「人事上のトラブル」等に加え、口コミ、インターネット等による「風評」による危機に対しても危機管理マニュアルの策定が求められる。

正解 1

問題難易度
肢130.5%
肢254.8%
肢34.7%
肢410.0%

解説

  1. [不適切]。顧客に情報を提供を行うにあたっては、顧客が保険商品の内容を理解するために必要な情報(契約概要)と顧客に対して注意喚起すべき情報(注意喚起情報)のうち所定の事項を記載しなければなりません。この際、契約概要と注意喚起情報について同一媒体を用いて一体で記載している場合には、"契約概要"・"注意喚起情報"という題目の記載を省略し、"契約情報"として表示することで足ります(指針Ⅱ-4-2-2)。
  2. 適切。保険会社や保険募集人等は、保険契約の勧誘に際して、顧客の意向を把握してそれに沿った提案を行うとともに、契約締結時には意向に合致していることを確認しなければなりません。ただし、下記の保険契約等は、保険契約者を保護する必要性が低いため顧客の意向の把握義務が免除されています(保険業法規則227条の2第9項)。
    • 被保険者が負担する保険料がゼロの保険契約
    • 保険期間1月以内かつ保険料が1,000円以下の保険契約
    • 主たる商品の販売等に係る販売促進目的の保険商品
  3. 適切。特定保険契約とは、いわゆる市場リスクを有する保険契約です。特定保険契約には金融商品取引法の行為規制が準用されるので、適合性の原則(金商法40条)に基づき、顧客の知識、経験、財産の状況および特定保険契約を締結する目的を的確に把握のうえ、顧客属性等に則した適正な販売・勧誘の履行を確保する必要があります(指針Ⅱ-4-4-1-3)。
  4. 適切。保険会社は、危機発生時における初期対応や情報発信等の対応が極めて重要であることから、平時より業務継続体制を構築し、危機管理マニュアルや業務継続計画の策定等を行っておくことが求められます。指針では、想定すべき危機として①自然災害、②テロ・戦争、③事故、④風評、⑤営業上・人事上・労務上のトラブルを挙げています。風評による危機とは、口コミ、インターネット、電子メール、憶測記事等による企業価値や信用の低下のことで、レピュテーションリスクとも呼ばれます(指針Ⅱ-3-7-2)。
したがって不適切な記述は[1]です。