FP1級過去問題 2024年5月学科試験 問25

問25

所得税の非課税所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 自己所有の自動車や自転車を利用して通勤している給与所得者に対し、勤務先から通常の給与に加算して支払われるべき通勤手当は、片道の通勤距離が2km未満である場合、原則として全額が所得税の課税所得となる。
  2. 鉄道を利用して通勤している給与所得者に対し、勤務先から通常の給与に加算して支払われるべき通勤手当は、経済的かつ合理的な運賃等の額で、月額15万円を上限に所得税の非課税所得となる。
  3. 孫が通学する大学の授業料が祖父の預金口座から支払われている場合、支払われた額は、学資に充てるため給付される金品として所得税の非課税所得となる。
  4. 雇用保険の給付のうち、失業者に支給される基本手当や傷病手当は所得税の非課税所得とされるが、就業者に支給される育児休業給付金や高年齢雇用継続基本給付金は所得税の課税所得となる。

正解 4

問題難易度
肢117.3%
肢24.7%
肢315.7%
肢462.3%

解説

  1. 適切。マイカー・自転車通勤者の通勤手当に係る1か月当たりの非課税限度額は、片道の通勤距離に応じて定められています。具体的には、片道2km以上10km未満の4,200円から片道55km以上の31,600円まで7区分です。通勤距離が片道2km未満の場合、非課税額はゼロで通勤手当の全額が所得税の課税対象となります(所得税法令20条の2第2号)。
    有料道路を使用せずに自動車で通勤している給与所得者に対し、勤務先から通常の給与に加算して支払われる通勤手当は、1カ月当たり最大で15万円までが非課税とされる。2023.5-25-1
    自転車を利用して通勤している給与所得者に対し、勤務先から通常の給与に加算して支払われるべき通勤手当は、片道の通勤距離に応じて、非課税限度額が定められている。2021.9-25-1
    交通機関を利用して通勤している給与所得者に対し、勤務先から通常の給与に加算して支払われるべき通勤手当は、合理的な運賃等の額で、月額15万円を上限に非課税とされる。2019.5-25-1
  2. 適切。電車・バス等の公共交通機関または有料道路を利用している人の場合、通勤手当として月額15万円を上限に所得税の非課税所得となります(所得税法令20条の2第1号)。
  3. 適切。学資に充てるため給付される金品は、給与その他対価の性質を有する一定のものを除き、所得税の非課税所得となります。したがって、父母や祖父母等が子や孫等に対して支払った学資金のほか、給付型奨学金の受取りなども非課税となります(所得税法9条1項15号)。
  4. [不適切]。基本手当や傷病手当、育児休業給付金、高年齢雇用継続基本給付金などの雇用保険から支給を受ける金銭や健康保険から受ける金銭は、その全額が非課税となります(雇用保険法12条)。
    雇用保険法により失業等給付として支給を受ける金銭のうち、基本手当や傷病手当等の求職者給付は非課税とされるが、高年齢雇用継続基本給付金や高年齢再就職給付金等の雇用継続給付は課税の対象となる。2021.9-25-2
したがって不適切な記述は[4]です。