FP1級過去問題 2024年5月学科試験 問49

問49

相続により取得した次の宅地等のうち、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けると、同一の相続により取得した他の宅地等について「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除」の適用を受けることができなくなるものはどれか。なお、各選択肢において、宅地等の面積はいずれも100㎡であるものとする。
  1. 貸付事業用宅地等
  2. 特定居住用宅地等
  3. 特定事業用宅地等
  4. 特定同族会社事業用宅地等

正解 3

問題難易度
肢117.8%
肢29.5%
肢351.6%
肢421.1%

解説

「個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予および免除の特例(個人版事業承継税制)」は、非上場株式に係る贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)の対象外となる個人事業について、安定した事業承継を支援することを目的とする制度です。適用を受けることにより、個人事業主から後継者に対する一定の事業用資産の贈与・相続に係る贈与税・相続税の全額が猶予・免除されます。

本特例の適用対象となる特定事業用資産は、先代事業者の事業の用に供されており、贈与・相続があった年の前年分の事業所得に係る青色申告書の貸借対照表に計上されている次の資産に限られます。
  • 宅地等(400㎡まで)
  • 建物(床面積800㎡まで)
  • 固定資産税の償却資産、一定の営業用車両等
本特例は従来より個人の事業承継を目的として講じられてきた特定事業用宅地等に係る評価減(400㎡まで80%減)を包含する制度となっているので、本特例の適用を受けた宅地は、重複して小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けることができません。反対も同様で、特定事業用宅地等として小規模宅地等の評価減の特例を受けた土地は、個人版事業承継税制の対象とすることができません。

したがって[3]が正解となります。