FP1級 2025年5月 応用編 問62
甲土地の借地権者であるAさんは、甲土地上にある自宅で妻と2人で暮らしている。Aさんが自宅の建替えについて検討していたところ、甲土地の貸主(地主)であるBさんから、甲土地を乙土地と丙土地に分割して、乙土地部分をAさんが取得し、丙土地部分をBさんが取得するように借地権と所有権(底地)を交換したいとの提案を受けた。Aさんは、借地権と所有権(底地)を交換した場合の自宅の建替えについて検討することにした。
甲土地および交換後の乙土地、丙土地の概要は、以下のとおりである。
〈甲土地の概要〉
甲土地および交換後の乙土地、丙土地の概要は、以下のとおりである。
〈甲土地の概要〉

- 甲土地は252㎡の長方形の土地であり、交換後の乙土地は136.5㎡、丙土地は115.5㎡の長方形の土地である。
- 交換後の乙土地のうち、第一種住居地域に属する部分は105㎡、第一種低層住居専用地域に属する部分は31.5㎡である。
- 幅員3mの公道は、建築基準法第42条第2項により特定行政庁の指定を受けた道路である。3m公道の道路中心線は、当該道路の中心部分にある。また、3m公道の甲土地の反対側は宅地であり、がけ地や川等ではない。
- 交換後の乙土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地ではない。
- 指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
- 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
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問62
交換後の乙土地に耐火建築物を建築する場合、次の①および②に答えなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は㎡表示とすること。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。- 建蔽率の上限となる建築面積はいくらか。
- 容積率の上限となる延べ面積はいくらか。
①㎡ |
②㎡ |
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正解
① 88(㎡) |
② 270(㎡) |
分野
科目:E.不動産細目:3.不動産に関する法令上の規制
解説
まず、乙土地は2項道路(南側の3m道路)に接しているためセットバックについて考慮する必要があります。
道路の反対側はがけ地や川等ではないことから、道路の中心線から2mの線まで後退することとなり、乙土地の南側0.5mがセットバック部分になります。したがって、第一種住居地域に属する部分は「10m×10m=100㎡」、第一種低層地域に属する部分は「10m×3m=30㎡」となります。
〔①について〕
建築面積の計算では建蔽率の緩和を考慮する必要があります。
本問の建物は防火地域と準防火地域にまたがって建築されるので、建築物全体が厳しいほうの防火地域に存するとみなして規制が適用されます。そうなると"防火地域内の耐火建築物等"に該当するため+10%の緩和を受けられます。指定角地ではないので角地の緩和はありません。
用途地域ごとに分けて建築面積の限度を計算し、それを合計します。
〔②について〕
建築物が容積率の異なる複数の用途地域にまたがって建築される場合、各用途地域ごとに「敷地面積×容積率」で延べ面積を求め、その合計が敷地全体の延べ面積の限度となります。また、容積率には前面道路の幅員による制限があり、前面道路の幅員が12m未満の場合、以下の2つのうち小さい方の制限が適用されます。
用途地域ごとに分けて延べ面積の限度を計算し、それを合計します。

〔①について〕
建築面積の計算では建蔽率の緩和を考慮する必要があります。

用途地域ごとに分けて建築面積の限度を計算し、それを合計します。
- 第一種住居地域に属する部分
- 100㎡×(60%+10%)=70㎡
- 第一種低層地域に属する部分
- 30㎡×(50%+10%)=18㎡
- 建蔽率の上限となる建築面積
- 70㎡+18㎡=88㎡
〔②について〕
建築物が容積率の異なる複数の用途地域にまたがって建築される場合、各用途地域ごとに「敷地面積×容積率」で延べ面積を求め、その合計が敷地全体の延べ面積の限度となります。また、容積率には前面道路の幅員による制限があり、前面道路の幅員が12m未満の場合、以下の2つのうち小さい方の制限が適用されます。
- 都市計画で定められた容積率(指定容積率)
- 前面道路の幅員×法定乗数
用途地域ごとに分けて延べ面積の限度を計算し、それを合計します。
- 第一種住居地域に属する部分
- 容積率:300%>6m×0.4=240% ∴240%
100㎡×240%=240㎡ - 第一種低層地域に属する部分
- 容積率:100%<6m×0.4=240% ∴100%
30㎡×100%=30㎡ - 容積率の上限となる延べ面積
- 240㎡+30㎡=270㎡
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