公的年金(全55問中11問目)

No.11

老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰上げ支給と繰下げ支給に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2023年5月試験 問5
  1. 1963年2月5日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合、60歳に達した月に老齢基礎年金のみの繰上げ支給の請求をすることができる。
  2. 1962年3月10日生まれの国民年金の第1号被保険者期間のみを有する女性が、61歳に達した月に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をする場合、当該年金の減額率は19.2%である。
  3. 1958年6月23日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、65歳から老齢基礎年金を受給する場合、73歳に達した月に老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができる。
  4. 1958年1月28日生まれの遺族厚生年金を受給している女性が、65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得する場合、67歳に達した月に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることができる。

正解 3

問題難易度
肢111.9%
肢234.0%
肢336.8%
肢417.3%

解説

  1. 不適切。老齢年金の繰上げ支給の請求は、老齢基礎年金・老齢厚生年金を同時にしなければならないので、老齢基礎年金のみの繰上げ支給の請求をすることはできません。
  2. 不適切。繰上げ請求に係る減額率は1月当たり0.4%に緩和されましたが、この0.4%の減額率が適用されるのは、1962年4月2日以降に生まれた人(法が施行された2022年4月1日以降に60歳になる人)に限られます。本肢の女性は1962年3月10日生まれなので、1月当たりの減額率は従前のまま0.5%、4年=48月の繰上げなので減額率は「48月×0.5%=24%」です。
  3. [適切]。繰下げ請求では、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時にする必要はありません。繰下げ請求できる年齢は最長で75歳までに伸びましたが、75歳まで繰下げできるのは、1952年4月2日以降に生まれた人(法が施行された2022年4月1日以降に70歳になる人)に限られます。本肢の男性は1958年生まれなので、73歳で繰下げ支給の請求をすることができます。
  4. 不適切。公的年金の障害給付や遺族給付の受給権を有している人は、老齢基礎年金の繰下げ受給の請求をすることができません。老齢厚生年金でも基本的に繰下げ不可ですが、併給が可能である障害基礎年金と老齢厚生年金の組合せだけは、繰下げか可能となっているので注意しましょう。
    遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、65歳到達以後は老齢基礎年金に加えて、遺族厚生年金および老齢厚生年金のうち、受給権者が選択したいずれか一方の年金が支給される。2024.9-6-2
    障害基礎年金および障害厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、「障害基礎年金と障害厚生年金」「老齢基礎年金と老齢厚生年金」「障害基礎年金と老齢厚生年金」のいずれかの組合せによる年金の受給を選択することができる。2022.9-5-4
    遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢基礎年金に加えて、遺族厚生年金としてその3分の2相当額と老齢厚生年金としてその2分の1相当額を受給することができる。2021.1-5-4
    特別支給の老齢厚生年金を受給している者が65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給するときは、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給を希望する場合を除き、年金請求書の提出は不要である。2019.1-4-3
    障害基礎年金および障害厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、「障害基礎年金と障害厚生年金」「老齢基礎年金と老齢厚生年金」「障害基礎年金と老齢厚生年金」のいずれかの組合せによる年金の受給を選択することができる。2018.9-6-4
    遺族厚生年金の受給権者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合は、いずれか一方の年金を選択して受給することになる。2015.9-5-1
したがって適切な記述は[3]です。