公的年金(全55問中22問目)

No.22

2024年度中に厚生年金保険の被保険者に支給される老齢厚生年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
2021年1月試験 問3
  1. 65歳未満の厚生年金保険の被保険者が支給を受ける特別支給の老齢厚生年金は、その者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が50万円以下である場合、在職支給停止の仕組みによる調整はなく、全額が支給される。
  2. 65歳未満の厚生年金保険の被保険者が特別支給の老齢厚生年金の支給を受ける場合に、厚生年金保険の被保険者期間が44年以上あり、所定の要件を満たす配偶者を有するときは、在職支給停止の仕組みによる調整後の年金額に加給年金額が加算される。
  3. 65歳以上の厚生年金保険の被保険者が支給を受ける老齢厚生年金は、その者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が50万円以下である場合、在職支給停止の仕組みによる調整はなく、全額が支給される。
  4. 65歳以上の厚生年金保険の被保険者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。

正解 2

問題難易度
肢18.8%
肢260.4%
肢310.8%
肢420.0%

解説

  1. 適切。65歳未満の人は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が、在職老齢年金の支給停止調整開始額である50万円以下であれば、在職支給停止の対象となりません。2022年4月より65歳以上の人と支給停止基準額が65歳以上の人と同水準に引き上げられています。
  2. [不適切]。加給年金額は加算されません。厚生年金保険の被保険者期間が44年以上ある人が退職などにより被保険者でなくなった場合、65歳未満であっても特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)に加えて定額部分を受け取ることができる特例があります(長期加入者の特例:44年特例)。この場合、定額部分が支給されるので65歳未満であっても加給年金額が加算されます。しかし、本肢のように現に厚生年金保険の被保険者には44年特例は適用されないので、加給年金額が加算されることはありません。
  3. 適切。65歳以上の人は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が、在職老齢年金の支給停止調整開始額である50万円以下であれば、老齢厚生年金の支給停止はありません。
  4. 適切。老齢厚生年金の受給権を取得したものが、65歳以降も引き続き被保険者として働く場合、収入が一定額を超える時には、在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金が減額調整されます。この減額調整によって支給停止された部分の年金は繰下げによる増額の対象となりません。例えば、70歳まで繰り下げた人が、65歳から70歳の間に在職老齢年金の仕組みにより平均して40%支給停止された場合、70歳から本来受け取る年金額のうち60%だけに増額率42%が適用されます。
したがって不適切な記述は[2]です。