社会保険(全68問中50問目)

No.50

雇用保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2017年1月試験 問3
  1. 2016年8月1日以降に介護休業を開始した被保険者に支給される介護休業給付金の額は、介護休業期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合、1支給単位期間について、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の67%相当額である。
  2. 基本手当の受給期間は、原則として離職の日の翌日から1年間であるが、60歳以上の定年退職者で、一定期間求職の申込みをしないことを希望する受給資格者が、その旨を離職の日の翌日から2カ月以内に管轄の公共職業安定所長に申し出た場合には、受給期間を1年を限度として延長することができる。
  3. 60歳到達日に雇用保険の一般被保険者であった期間が5年未満であった者が、60歳以後も継続して雇用され、当該被保険者期間が5年に達した場合、その者は、他の要件を満たせば、所定の手続により、原則として5年に達した日の属する月から65歳に達する日の属する月までの間、高年齢雇用継続基本給付金を受給することができる。
  4. 高年齢被保険者が失業した場合において、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上ある者は、所定の手続により、算定基礎期間に応じて基本手当日額の50日分または100日分に相当する高年齢求職者給付金を受給することができる。

正解 4

問題難易度
肢15.2%
肢220.1%
肢317.0%
肢457.7%

解説

  1. 適切。介護休業中に事業主から賃金が支払われていなければ、介護休業給付金の額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」相当額(100分の67)となります(雇用保険法附則12条)。
    67%というのは2016年(平成28年)8月1日以降に開始する介護休業に対して適用される給付率で、当面の間の暫定措置です。本則は40%です。
  2. 適切。基本手当の受給資格者のうち60歳以上で定年退職した者は、離職後一定期間に求職の申込みをしない旨を公共職業安定所長に申し出ることによって、原則1年の受給期間を最長で1年間延長することができます(雇用保険法20条2項)。この申出は離職の日の翌日から起算して2カ月以内にしなければなりません(雇用保険法規則31条の3)。
    ※定年退職後に一定期限まで再雇用された場合に期限が到来したときを含む
    基本手当の受給期間は、原則として離職の日の翌日から1年間であるが、離職が60歳以上の定年退職によるものである場合、離職の日の翌日から2カ月以内に申し出ることにより、最長で3年間まで延長される。2024.9-3-4
    基本手当の受給期間は、原則として離職の日の翌日から1年間であるが、離職が60歳以上の定年退職によるものである場合、離職の日の翌日から2カ月以内に申し出ることにより、最長3年間まで延長される。2020.1-3-3
  3. 適切。高年齢雇用継続基本給付金では一般被保険者としてのみなし算定基礎期間(被保険者であった期間)が5年以上であることが支給要件になっています。60歳到達時に受給資格を満たしてなくても、その後も継続して雇用され算定基礎期間が5年に達すれば支給要件を満たします(雇用保険法61条1項1号)。高年齢雇用継続基本給付金は、雇用保険の被保険者が65歳到達月まで支給されます。
  4. [不適切]。高年齢求職者給付金は、離職の日以前1年以内に通算6カ月以上の被保険者期間を有する65歳以上の人が失業した場合に支給されます(雇用保険法37条の3)。高年齢求職者給付金の額は、離職の日までに同一の事業主に被保険者として雇用された期間が1年以上あった場合に「基本手当日額の50日分」、1年未満であった場合には「基本手当日額の30日分」となっています(雇用保険法37条の4)。
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    一般被保険者が会社の倒産により離職を余儀なくされて失業した場合、原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して6カ月以上あれば、所定の手続により、基本手当の支給を受けることができる。2024.9-3-1
    一般被保険者が会社の倒産により離職を余儀なくされて失業した場合、原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して6カ月以上あれば、所定の手続により、基本手当の支給を受けることができる。2021.5-3-1
    事業所の倒産により離職し、雇用保険の一般被保険者資格を喪失した者は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上あれば、基本手当の受給対象者となる。2018.9-3-1
したがって不適切な記述は[4]です。