生命保険(全79問中10問目)

No.10

所得税の生命保険料控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2023年9月試験 問12
  1. 少額短期保険業者と締結した少額短期保険について、契約者(=保険料負担者)が被保険者、死亡保険金受取人が配偶者である少額短期保険の保険料は、一般の生命保険料控除の対象となる。
  2. 自動振替貸付により生命保険料控除の対象となる終身保険の保険料の払込みに充当した金額は、充当した年分の一般の生命保険料控除の対象となる。
  3. 悪性新生物、急性心筋梗塞、脳卒中により所定の状態に該当した場合に、生前に死亡保険金と同額の特定疾病保険金を受け取ることができる特定疾病保障定期保険の保険料は、介護医療保険料控除の対象となる。
  4. 2024年中に加入した生命保険料控除の対象となる終身保険について、保険料払込期間の全期間の保険料を前納した場合、当該保険料の全額が2024年分の一般の生命保険料控除の対象となる。

正解 2

問題難易度
肢15.2%
肢274.6%
肢39.8%
肢410.4%

解説

  1. 不適切。少額短期保険の保険料は、保険商品の種類や契約者と保険金受取人の関係性等にかかわらず、生命保険料控除の対象外です。生命保険料控除の対象となる保険契約は、保険業法における生命保険会社・損害保険会社と締結した保険契約に限られますが、少額短期保険業者はどちらにも該当しないためです(所得税法76条)。
  2. [適切]。未入金などの理由で保険料が未払いになると、保険の失効を防ぐために保険会社が解約返戻金の範囲で自動的に保険料を立て替えてくれます。これを「自動振替貸付制度」といいます。自動振替貸付による充当があった場合、お金を借りて保険料を支払ったとみなされるので、返済した年分ではなく、自動振替貸付があった年分の生命保険料控除の対象になります(所基通76-3)。
  3. 不適切。一般の生命保険料控除の対象となります。特定疾病保障定期保険は、人の死亡を支払事由とする定期保険に介護医療保障的なものが付加されて一体となった組込み型の保険契約です。特定疾病保障定期保険の保険料は、死亡保険金額が、特定疾病に罹患したことや身体の状態に基因して支払われる保険金の5分の1以下であるときは介護医療保険料控除として、それを超える場合には一般の生命保険料控除の対象となります。本肢は、死亡保険金と特定疾病保険金が同額ですから、一般の生命保険料控除の対象となるというわけです(所得税法令208条の3)。
  4. 不適切。前納した保険料は、保険会社が預かる形となり、月払い・年払いなどの契約者指定の方法で払込時期が到来する都度保険料に充当されます。このため、全期間分を前納した場合でも、その年中に充当される金額のみがその年の生命保険料控除の対象となります。一時払いとは違うので注意です(所基通76-3)。
したがって適切な記述は[2]です。