損害保険(全57問中57問目)
No.57
株式会社X社(以下、X社という)の倉庫が火災により全焼した。X社は、契約している火災保険から保険金を受け取り、当該保険金を受け取った事業年度中に倉庫を新築した。以下の〈資料〉を基に、保険金等で取得した固定資産の圧縮記帳をする場合の圧縮限度額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、火災保険の契約者(=保険料負担者)・被保険者・保険金受取人は、いずれもX社とする。〈資料〉
- 焼失した建物(倉庫)の帳簿価額:1,500万円
- 倉庫の焼失によりX社が支出した経費
焼跡の整理費(片づけ費用):200万円
けが人への見舞金:50万円 - 火災保険からの受取保険金:3,000万円
- 新築した代替建物(倉庫)の取得価額:4,200万円
2014年1月試験 問15
- 1,250万円
- 1,300万円
- 1,820万円
- 1,950万円
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正解 2
問題難易度
肢112.1%
肢273.3%
肢38.9%
肢45.7%
肢273.3%
肢38.9%
肢45.7%
分野
科目:B.リスク管理細目:4.損害保険
解説
保険金や国庫補助金(以下、保険金等)を受け取って設備や機械などの固定資産を取得した場合には、法人が受け取った保険金等は益金となるものの、固定資産の取得費用は損金にならないので、保険金等の額は全額が課税対象となります。圧縮記帳は、この保険金等に対する税負担を軽減するために、保険金等の額のうち固定資産の取得に充てた一定の金額を損金として計上することで、保険金等への課税を翌年以降に繰り延べることができる制度です。圧縮記帳をしない場合には以下のような仕訳となり、保険金等は受け取った事業年度の益金として課税されます。



圧縮限度額は以下の算式で計算します。まず受け取った保険金等のうち損害額を超過する部分である保険差益を計算し、その後、保険差益のうち代替資産の取得等に充てた割合を求めるイメージです。

- 保険金等の額
- 事業の休廃業による収益減少を補填する保険金、棚卸資産の損害を補償する保険金は圧縮記帳の対象となりません。よって、火災保険の保険金のみが対象となります。
- 滅失・損壊で支出した費用
- 取り壊し費用、片付け費、消防費など直接関連している費用のみが対象となります。被害者への賠償金・見舞金等は圧縮記帳の対象外です。
保険差益=3,000万円-200万円-1,500万円=1,300万円
保険金等のうち代替資産を取得するために支出した額は3,000万円なので、圧縮限度額は、
1,300万円×3,000万円3,000万円-200万円
=1,300万円×1=1,300万円
したがって[2]が正解です。
※保険金等の額を全て代替資産の取得に充てた場合には、右項の係数部分が1となるので保険差益がそのまま圧縮限度額となります。
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