FP1級過去問題 2019年1月学科試験 問13
問13
自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」という)および政府の自動車損害賠償保障事業(以下、「政府保障事業」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- 複数台の自動車による事故において、共同不法行為により身体に損害を被った場合、自賠責保険により支払われる保険金等は、加害者の有効な自賠責保険契約に係る保険金額を合算した額が限度となる。
- 自賠責保険では、被害者の過失割合が7割以上10割未満である場合、重過失減額制度により、原則として、自賠責保険により支払われるべき保険金等が被害者の過失割合に応じて減額される。
- 政府保障事業による損害のてん補は、自賠責保険の支払基準に準じて支払われるが、被害者が健康保険や労働者災害補償保険などの社会保険からの給付を受けることができる場合には、その金額が差し引かれててん補される。
- 政府保障事業では、被害者は、損害賠償額が確定する前であっても、治療費などの当座の費用として仮渡金の支払を請求することができる。
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正解 4
問題難易度
肢19.1%
肢210.1%
肢312.0%
肢468.8%
肢210.1%
肢312.0%
肢468.8%
分野
科目:B.リスク管理細目:4.損害保険
解説
- 適切。自賠責保険は自動車一両ごとに加入するものなので、多重事故などで自動車事故の加害者が複数存在する場合、被害者はそれぞれの加害者の自賠責保険に対して保険金を請求することができます。このため、保険金の支払限度額は「通常の保険金額×加害車両数」となります。複数台の自動車による事故において、共同不法行為により他人の身体に損害を与えた場合、自賠責保険の保険金額に加害者の有効な自賠責保険の契約数を乗じたものが、保険金の支払限度額になる。(2023.5-13-2)複数台の自動車による事故において、共同不法行為により他人の身体に損害を与えた場合、自賠責保険の保険金支払限度額は、加害者の有効な自賠責保険の契約数を乗じたものになる。(2015.10-13-2)
- 適切。自賠責保険は被害者の保護を目的としているため、厳格な過失相殺は適用されません。ただし、被害者に過失割合7割以上の重大な過失がある場合に限って下表のように保険金額が減額されます(金融庁・国土交通省告示第6)。※減額割合まで覚える必要はありません自賠責保険では、自動車事故の被害者の過失割合が5割以上の場合、積算した損害額が保険金額に満たないときには積算した損害額から、保険金額以上となるときには保険金額から、被害者の過失割合に応じて2割から5割の減額が行われる。(2024.9-14-3)自賠責保険では、自動車事故の被害者の過失割合が5割以上の場合、積算した損害額が保険金額に満たないときには積算した損害額から、保険金額以上となるときには保険金額から、被害者の過失割合に応じて2割から5割の減額が行われる。(2023.5-13-4)自賠責保険では、被害者の過失割合が5割以上の場合、重過失減額制度により、原則として保険金の支払限度額が被害者の過失割合に応じて減額される。(2015.10-13-4)
- 適切。政府保障事業は、自賠責保険の支払基準に準じて保険金を支払いますが、健康保険や労働者災害補償保険などの社会保険から損害のてん補に相当する給付を受ける場合は、その金額が差し引かれて支払われます(自賠法73条)。政府が行う自動車損害賠償保障事業では、被害者が直接政府の保障事業に請求することにより、自賠責保険と同じ支払限度額の保障を受けられ、被害者が健康保険や労働者災害補償保険などの社会保険から給付が受けられる場合には、その金額を差し引いて支払われる。(2015.10-13-3)自動車損害賠償保障事業から支払われる損害のてん補は、被害者が健康保険や労働者災害補償保険等による損害のてん補に相当する給付を受けられる場合であっても、社会政策的見地から、他の給付と調整されることはない。(2014.1-14-2)
- [不適切]。自賠責保険では、損害賠償額が確定する前であっても被害者は治療費などの当座の費用を仮渡金として保険会社に請求することができます。しかし、政府保障事業では、このような仮渡金を請求する制度はありません(自賠法17条)。政府保障事業では、被害者は、損害賠償額が確定する前であっても、治療費などの当座の費用として仮渡金の支払を請求することができる。(2021.1-13-3)
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