関連法規(全13問中2問目)

No.2

金融商品取引法に規定されるインサイダー取引規制に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。
  1. 上場会社等に係る業務等に関する重要事実が「適時開示情報閲覧サービス」に掲載されると即時に公開措置が完了されるため、当該重要事実に基づく取引は、インサイダー取引規制の対象とならない。
  2. インサイダー取引規制の対象となる行為は、上場株式等の売買その他有償の譲渡もしくは譲受けなどであり、無償で行われる贈与や相続による上場株式の取得はインサイダー取引規制の対象とならない。
  3. 上場会社の従業員が、ストックオプションとして付与された新株予約権を行使して当該上場会社の株式を取得することや、その取得後に当該株式を売却することは、原則として、インサイダー取引規制の対象とならない。
2023年5月試験 問24
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)

正解 2

問題難易度
肢134.8%
肢238.4%
肢310.6%
肢416.2%

解説

  1. 適切。会社関係者は、上場会社等に係る業務等に関する重要事実が公表された後でなければ、当該上場会社等の有価証券の売買等を行ってはなりません。「公表された」とは、所定の事項について多数の者の知り得る状態に置かれることをいい、具体的には次の3つのいずれかの措置がとられたことを指します(金商法令30条)。
    1. 会社の役員が2つ以上の報道機関(日刊新聞紙を販売する新聞社、通信社、放送業者)へ重要事実を公開した後、12時間が経過したこと
    2. 金融商品取引所に重要事実を通知し、金融商品取引所において公衆縦覧されたこと
    3. 重要事実が記載された有価証券報告書等が財務局において公衆縦覧されたこと
    「適時開示情報閲覧サービス」は、❷の公表措置に対応して、東京証券取引所が運用するインターネットサービスです。本サービスに掲載された情報は、重要事実の公表がされたことになるので、インサイダー取引規制の対象となりません。
  2. 適切。インサイダー取引規制は、自己の意思によって行う上場株式等の売買その他有償の譲渡などが対象となるため、贈与や相続による無償の株式等の取得はインサイダー取引規制の対象とはなりません(金商法166条1項)。
    インサイダー取引規制の対象となる行為は、上場株式等の売買その他有償の譲渡もしくは譲受けなどであり、無償で行われる贈与や相続による上場株式の取得はインサイダー取引規制の対象とはならない。2018.1-24-b
  3. 不適切。ストックオプションとして付与された新株予約権を行使して株式を取得することは、インサイダー取引規制の適用除外に該当します(金商法166条6項2号)が、取得後、当該方法によって取得した株式を売却することは、原則として、インサイダー取引規制の適用対象となります。
    上場会社の職員が、ストックオプションとして付与された新株予約権を行使して当該上場会社の株式を取得することや、その取得後に当該株式を売却することは、原則として、インサイダー取引規制の適用除外とされている。2018.1-24-c
したがって適切なものは「2つ」です。