所得控除(全31問中15問目)

No.15

居住者に係る所得税の医療費控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2020年1月試験 問27
  1. 青色事業専従者として給与の支払を受けている妻に係る医療費で一定のものを事業主である夫が支払った場合、妻が受け取っている給与の額にかかわらず、当該医療費は夫の医療費控除の対象となる。
  2. 被相続人に係る医療費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続財産により支払われた場合、被相続人の準確定申告において、被相続人の医療費控除の対象となる。
  3. 医療費控除の対象となる医療費は、その年中に実際に支払った金額に限られ、医療費控除額の計算上、支払った医療費から差し引く医療費を補填する保険金等は、その年中に実際に受け取った金額に限られる。
  4. 医療費控除の適用を受けるためには、確定申告書に医療費控除に関する事項を記載するとともに、医療保険者から交付を受けた医療費通知および医療費の領収書を確定申告書に添付しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢155.4%
肢217.6%
肢313.7%
肢413.3%

解説

  1. [適切]。生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合、その親族等の収入の多寡にかかわらず、支払った医療費の全額が医療費控除の対象となります。よって、配偶者に青色事業専従者としての給与があっても、支払った医療費は支払った者の医療費控除の控除の対象になります。
  2. 不適切。医療費控除は、その年中に実際に支払った金額を対象とします。このため被相続人の準確定申告で医療費控除の対象となるのは死亡日までに支払った医療費に限られます。なお、被相続人の未払いの医療費は、債務控除として相続財産から控除することになります。
  3. 不適切。医療費控除の対象となる医療費から差し引くことになる「保険金等で補填された金額」は、その年中に限らず、受取りが翌年になった場合でも医療費を支払った年の医療費から差し引く必要があります。そうでなければ、算定される医療費控除の額が実際よりも多くなってしまうからです。
    医療費を補填する保険金等の額が、医療費を支払った年分の確定申告書を提出するときまでに確定していない場合には、補てんされる保険金等の見込額に基づいて計算し、補填される保険金等の確定額と当初の見込額とが異なる場合には、修正申告または更正の請求の手続により訂正することになります。
  4. 不適切。医療費控除の適用を受けるためには、「医療費控除の明細書」に必要事項を記入し、確定申告書に添付して所轄税務署に提出する必要があります。
    2017年(平成29年)分の確定申告から、医療費の領収書の添付は必要なくなり、健康保険の保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を簡略化することができます。
したがって適切な記述は[1]です。