各種所得の内容(全46問中2問目)

No.2

居住者に係る所得税の一時所得および雑所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
2024年9月試験 問26
  1. 一時払終身保険を契約から4年後に解約して受け取った解約返戻金は、一時所得として総合課税の対象となる。
  2. 先物取引や暗号資産の証拠金取引に係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、翌年以後3年にわたって繰り越し、各年分の先物取引や暗号資産の証拠金取引に係る雑所得の金額から控除することができる。
  3. 雑所得を生ずべき業務を行う者であって、その年の前々年分の当該業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える者は、当該業務に係る現金預金取引等関係書類を、原則として、その作成または受領した日の属する年の翌年3月15日の翌日から5年間保存しなければならない。
  4. 法人の株主が株主である地位に基づいて当該法人から受けた経済的利益で、配当所得とされないもの(いわゆる株主優待券等)は、雑所得とされる。

正解 2

問題難易度
肢116.4%
肢249.3%
肢320.9%
肢413.4%

解説

  1. 適切。終身保険の解約返戻金は、本肢のように一時払かつ契約から5年以内の解約であっても、源泉分離課税とはならず一時所得として総合課税の対象です。
    一時払終身保険を契約から4年後に解約した場合、当該解約返戻金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となる。2021.9-26-1
  2. [不適切]。暗号資産関連の損失は繰越し控除できません。先物取引に係る雑所得等の損失は、翌年以後3年間にわたって繰り越し、各年の先物取引に係る雑所得等の金額から控除できます。先物取引やオプション取引、外国為替証拠金(FX)取引は、当制度の対象となり損失を繰り越すことができますが、暗号資産の証拠金取引は対象外なので損失を繰り越せません(措置法41条の15)。
  3. 適切。業務に係る雑所得を有する者で、前々年分の雑所得の収入金額が300万円を超える場合、その業務に係る現金預金取引等関係書類(現預金の出納に係る請求書・領収書等)を5年間保存しなければなりません(所得税法232条2項)。雑所得については300万円が事業所得と雑所得を分ける基準となっており、300万円を超えると発生主義による処理や一定の証憑書類の保存が義務付けられます。
  4. 適切。株主がその地位に基づいて株式会社から受ける経済的利益のうち、配当金など利益や剰余金の処分として取り扱われるものは配当所得として課税されます。一方、株主優待のように利益の有無にかかわらず支払われるものは雑所得として課税されます(所基通24-2)。
したがって不適切な記述は[2]です。