FP1級過去問題 2021年9月学科試験 問26

問26

居住者に係る所得税の一時所得および雑所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 一時払終身保険を契約から4年後に解約した場合、当該解約返戻金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となる。
  2. 個人年金保険(保証期間付終身年金)の年金受取人が、年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一括で受け取った場合、その一時金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となる。
  3. 暗号資産取引により生じた損益は、その暗号資産取引自体が事業と認められる場合等を除き、雑所得に区分される。
  4. 2024年中に65歳以上の納税者が受け取った老齢基礎年金の額が78万円である場合、2024年分の所得税において公的年金等に係る雑所得の金額は算出されない。

正解 2

問題難易度
肢115.5%
肢258.3%
肢312.6%
肢413.6%

解説

  1. 適切。終身保険は、本肢のように一時払かつ契約から5年以内の解約であっても、その解約返戻金は一時所得となります。
    一時払終身保険を契約から4年後に解約して受け取った解約返戻金は、一時所得として総合課税の対象となる。2024.9-26-1
  2. [不適切]。個人年金保険の年金額の一括受取りは、受け取る時期により所得区分が変わります。
    • 受取り開始日以前の場合 … 一時所得
    • 受取り開始日後の場合 … 雑所得
    受取り開始日後の一括受取りであっても「将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」については一時所得の対象となりますが、本肢では、保証期間付終身年金のうち保証期間分だけを一括して受け取っているので雑所得となります。
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  3. 適切。暗号資産(仮想通貨)取引により生じた利益は、暗号資産取引自体が事業と認められる場合を除き、原則として雑所得として課税されます。
  4. 適切。65歳以上の人の公的年金等控除額は最低90万円※ですので、本肢のケースでは公的年金等に係る雑所得の金額はゼロとなります。
    ※公的年金収入以外の合計所得が2,000万円超の人の最低控除額です。当該金額が1,000万円超2,000万円以下であれば100万円、1,000万円以下であれば110万円となります。
したがって不適切な記述は[2]です。