法人税(全69問中3問目)

No.3

法人税における寄附金に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。なお、本問において、法人はいずれも内国法人(普通法人)であるものとする。
  1. 法人が政党に対して支出した寄附金は、指定寄附金としてその全額を損金の額に算入することができる。
  2. 親法人による完全支配関係がある子法人が親法人から寄附金を受け取った場合、子法人においては受け取った全額が益金の額に算入され、親法人においては支払った全額を損金の額に算入することができる。
  3. 親法人による完全支配関係がある子法人に出向している従業員に対して、出向元の親法人が子法人との給与条件の較差を補填するために給与を支払った場合、親法人が子法人に対して当該給与の額に相当する金額の寄附金を支出したものとみなされる。
2024年9月試験 問31
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)

正解 4

問題難易度
肢134.2%
肢223.3%
肢35.3%
肢437.2%

解説

  1. 不適切。法人が支出した寄附金の扱いは、寄附先により❶国・地方公共団体等、❷特定公益増進法人・認定NPO法人等、❸それ以外に区分されます。❶国や地方公共団体に対する寄附金と指定寄附金(公益性・緊急性が高いものとして財務大臣が指定したもの)は、全額を損金に算入することができますが、それ以外の寄附金は一部しか損金算入できません。本肢の政党に対する寄附金は、指定寄附金には該当せず上記❸それ以外の寄附金に該当するため、全額を損金の額に算入することはできません。
  2. 不適切。完全支配関係にある他の内国法人に対して支出した寄附金はその全額が損金不算入となります(法人税法37条2項)。また、その寄附金を受領した法人では、その受贈益はその全額が益金不算入となります(法人税法25条の2)。
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  3. 不適切。出向元法人が出向先法人との給与条件の較差を補填するために出向者に対して支給した給与は、出向元法人において損金の額に算入されます(法基通9-2-47)。寄付金とされるのは、較差補填以外で出向者の給与を出向元法人が負担している場合です。
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    なお、グループ法人税制が適用されるのは、グループ法人間で行われる資産の譲渡損益、寄附金、自己株式の譲渡、配当金の負債利子控除などです。これ以外は対象となりません。
    【参考】出向者の給与に係る税務は出向契約によって異なります。
    1. 出向元法人から支払うことになっていて、その給与を出向先法人が負担する場合は、出向先法人において給与として損金算入されます。
    2. 出向者の給与を出向元法人が負担している場合は、出向元から出向先に対する寄附金として扱われます。
    3. 出向先法人が支払う額と出向元の給与水準に較差があり、それ補填するために出向元が支払う給与は、出向元において給与として損金算入されます(本肢の事例)。
したがって適切なものは「0(なし)」です。