各種所得の内容(全41問中17問目)

No.17

居住者に係る所得税の総合課税の対象となる譲渡所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2020年9月試験 問26
  1. 譲渡資産について、譲渡した年の1月1日における所有期間が5年以下であるものは短期譲渡所得に区分され、5年を超えるものは長期譲渡所得に区分される。
  2. 資産を個人に対して通常の取引価額の2分の1未満の金額で譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、譲渡があった時の通常の取引価額を総収入金額に算入する。
  3. 同一年中に長期譲渡所得に係る譲渡益と短期譲渡所得に係る譲渡益がある場合、譲渡所得の特別控除額は、長期譲渡所得に係る譲渡益から控除し、控除しきれない金額を短期譲渡所得に係る譲渡益から控除する。
  4. 総所得金額の計算上、短期譲渡所得の金額はその全額を総所得金額に算入し、長期譲渡所得の金額はその2分の1相当額を総所得金額に算入する。

正解 4

問題難易度
肢129.0%
肢211.2%
肢313.0%
肢446.8%

解説

  1. 不適切。総合課税の対象となる譲渡所得では、短期・長期の別を譲渡日における所有期間で判定します。5年以下であれば短期譲渡所得、5年超であれば長期譲渡所得です。不動産の(分離課税の)譲渡所得のように譲渡した年の1月1日時点における所有期間ではないので注意しましょう。
  2. 不適切。個人から個人に時価の2分の1未満で資産が譲渡された場合でも、譲渡所得の金額の計算上、譲渡の対価そのままを収入金額とします。なお、著しく低い価額の譲渡と判定された場合には、資産を譲受した個人は時価と対価の差額を贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となります。
    ※役員から法人に2分の1未満の金額で低額譲渡があった場合には、時価で譲渡したものとみなされますが個人間の取引ではこの規定は適用されません。
    個人事業主が、取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産で事業の用に供しているものを譲渡したときは、原則として、事業所得の金額の計算上、その譲渡による収入金額を総収入金額に算入する。2021.5-25-2
  3. 不適切。総合課税の譲渡所得は特別控除額50万円を差し引きますが、長期譲渡所得に係る譲渡益と短期譲渡所得に係る譲渡益がある場合は、まず短期譲渡所得に係る譲渡益から控除され、控除しきれない金額が長期譲渡所得に係る譲渡益から控除されます(短期→長期の順)。
  4. [適切]。短期譲渡所得の金額はその全額が総所得金額に算入されますが、長期譲渡所得の金額は合計額の2分の1相当額を総所得金額に算入します。
したがって適切な記述は[4]です。