FP1級過去問題 2021年5月学科試験 問25
問25
居住者に係る所得税の事業所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- 個人事業主が販売用の棚卸資産を自家消費したときは、原則として、事業所得の金額の計算上、当該棚卸資産の販売価額の50%相当額を総収入金額に算入する。
- 個人事業主が、取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産で事業の用に供しているものを譲渡したときは、原則として、事業所得の金額の計算上、その譲渡による収入金額を総収入金額に算入する。
- 個人事業主が支出した交際費のうち、業務の遂行上直接必要と認められるものについては、事業所得の金額の計算上、その支出額の全額を必要経費に算入することができる。
- 個人事業主が、生計を一にする親族が所有する建物を賃借して事業の用に供している場合、その親族に支払う家賃については、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできない。
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正解 1
問題難易度
肢138.9%
肢223.9%
肢317.1%
肢420.1%
肢223.9%
肢317.1%
肢420.1%
分野
科目:D.タックスプランニング細目:3.各種所得の内容
解説
- [不適切]。50%ではありません。棚卸資産を自家消費した場合は、販売価額を総収入金額に算入するのが原則ですが、取得価額以上かつ販売価額の70%以上の額を総収入金額に算入しているときにはその金額とすることが認められています(所基通39-2)。販売用の棚卸資産を自家消費したときは、原則として、事業所得の金額の計算上、当該棚卸資産の販売価額の50%相当額を総収入金額に算入する。(2024.1-25-4)
- 適切。個人が事業用の減価償却資産を譲渡したことによる収入は、減価償却資産の区分によって異なります。①使用可能期間1年未満または取得価額10万円未満の少額減価償却資産、②取得価額が10万円以上20万円未満の一括償却資産に係るものは事業所得の総収入金額に算入され、③それ以外のものは譲渡所得の総収入金額に算入します。①②では固定資産ではなく棚卸資産として扱われるためです。資産を個人に対して通常の取引価額の2分の1未満の金額で譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、譲渡があった時の通常の取引価額を総収入金額に算入する。(2020.9-26-2)
- 適切。個人事業(所得税)では、法人と異なり交際費等の必要経費算入額に上限がありません。もっとも事業所得を生ずべき業務の遂行上必要であると認められるものであるものに限ります。個人事業主が、事業所得を生ずべき事業の遂行上、取引先に対して貸し付けた貸付金の利子は、事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。(2020.1-25-1)個人事業主の場合、接待交際費は業務の遂行上必要と認められるものは必要経費に算入することができ、法人税法に定められている交際費等の限度額の制限はない。(2015.1-25-1)
- 適切。個人事業主が、生計を一にする配偶者や親族に対して支払った給料、賃料、借入金の利子等は原則として必要経費にできません。逆に給与等を受けた側も所得として認識しません(所得税法56条)。青色申告者である個人事業主が生計を一にする父親名義の建物を賃借して事業の用に供している場合において、当該事業主が父親に支払った家賃は、その全額を事業所得の必要経費に算入することができる。(2022.5-25-c)個人事業主が、生計を一にする親族が発行済株式の全部を保有する会社が所有する建物を賃借して事業所得を生ずべき事業の用に供している場合において、当該会社に支払った賃借料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することができる。(2020.1-25-4)個人事業主が生計を一にする父親名義の土地と建物を賃借して事業の用に供している場合、父親に支払う地代や家賃は、その額が社会通念上相当と認められる金額であれば、支払った年分における事業所得の必要経費に算入することができる。(2017.1-25-c)
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