不動産に関する法令上の規制(全68問中16問目)

No.16

建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2022年9月試験 問38
  1. 建物価格の2分の1以下に相当する共用部分の滅失があった場合、滅失した共用部分を復旧する旨の集会の決議や建替え決議がないときは、各区分所有者は共用部分を復旧することができない。
  2. 規約を変更するためには、区分所有者および議決権の各3分の2以上の多数による集会の決議が必要であり、この変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、当該区分所有者の承諾を得なければならない。
  3. 形状または効用の著しい変更を伴う共用部分の変更を行うためには、原則として、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要であるが、この区分所有者の定数については規約で過半数まで減ずることができる。
  4. 集会において区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数による建替え決議がなされた場合、決議に賛成した区分所有者は、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者から、区分所有権および敷地利用権を時価で買い取らなければならない。

正解 3

問題難易度
肢15.0%
肢214.7%
肢371.7%
肢48.6%

解説

  1. 不適切。滅失の程度が建物価格の2分の1以下ならば、各区分所有者が単独で復旧できるというのが原則なので、集会の決議が必要というわけではありません。ただし、共用部分の復旧について復旧工事の着手前に集会の決議があった場合には、決議の内容が優先されます(区分所有法61条1項)。また、規約に別段の定めがある場合はその定めが最優先となります。
    なお、2分の1を超える滅失では区分所有者単独で復旧することができず、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の決議(特別決議)が必要となります。
  2. 不適切。規約の設定・変更・廃止には、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の決議(特別決議)が必要となります。規約の設定・変更・廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、少数者の利益を保護するためにその区分所有者の承諾を得ることが必要となっています(区分所有法31条)。
  3. [適切]。形状または効用の著しい変更を伴う共用部分の変更は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数によって決します。ただし、この区分所有者の定数(頭数)の方は規約で過半数まで減じることができます(区分所有法17条)。
  4. 不適切。建替え決議に伴う区分所有権等の売渡し請求は、建替えに賛成した区分所有者もしくは建替えに参加する旨を回答した区分所有者(または買受指定者)から、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に対して請求できます。買取りは義務ではありません。また、反対した区分所有者側から買取りを請求することはできません(区分所有法63条3項)。
したがって適切な記述は[3]です。