不動産の取引(全44問中2問目)

No.2

不動産の取引における民法上の契約不適合責任に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2024年5月試験 問35
  1. 売買により取得した土地の実際の面積が契約書に記載された面積よりも小さかった場合、売主が土地の引渡し時にその不適合を知り、または重大な過失によって知らなかった場合を除き、買主はその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、その不適合を理由として代金の減額の請求をすることができない。
  2. 売買により取得した家屋に水漏れがあった場合、売主が家屋の引渡し時にその不適合を知り、または重大な過失によって知らなかった場合を除き、買主はその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、その不適合を理由として契約の解除をすることができない。
  3. 家屋の売買契約の締結後、売主が買主に家屋を引き渡すまでの間に、その家屋が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失した場合、買主は、その滅失を理由として代金の支払を拒むことができる。
  4. 家屋の売買契約を締結し、売主が買主に家屋を引き渡した後、その家屋が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失した場合、買主は、その滅失を理由として契約の解除をすることはできない。

正解 1

問題難易度
肢151.5%
肢222.5%
肢39.9%
肢416.1%

解説

  1. [不適切]。契約不適合責任は、引き渡された売買目的物が種類・品質・数量に関して契約内容に適合していない場合に追及することができます。このうち知ってから1年の期間制限があるのは「種類・品質」に関する不適合に限られます。本肢の面積のように「数量」の不適合に関しては、1年の期間制限は適用されず、5年または10年の消滅時効にかかるまで責任追及が可能です(民法563条)。
  2. 適切。売買の目的物が種類・品質に関して契約不適合があった場合、買主はその契約不適合を知ったときから1年以内にその旨を売主に通知しなければなりません。ただし、売主が目的物の引渡時に不適合の事実を知り、または重大な過失により知らなかった場合は、1年の期間制限は適用されず、5年または10年の消滅時効にかかるまで責任追及が可能です(民法566条)。
  3. 適切。売買契約後、引渡し前に売買目的物が天災等の当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失した場合、売主の引渡し債務は消滅し、買主はその反対給付たる代金支払いを拒むことができます(民法536条1項)。
  4. 適切。売買目的物が引き渡された後は、その危険は買主に移転します。このため、引渡し後に当事者双方の責めに帰することができない事由で滅失したとしても、買主は契約を解除することはできません(民法567条1項)。
したがって不適切な記述は[1]です。