不動産の取引(全44問中27問目)

No.27

借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。
2018年1月試験 問36
  1. 契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了する旨を定めた建物賃貸借契約を締結した賃貸人が、あらかじめ賃借人に対してその旨を書面を交付して説明していなかった場合、賃貸借期間の満了時に賃借人から契約の更新の請求があったときは、賃貸人は、正当の事由がない限り、その請求を拒絶することはできない。
  2. 定期借家契約は、公正証書で締結しなければならないため、公正証書以外の書面や口頭によって契約の更新がない旨を定めた建物賃貸借契約を締結しても、その契約は普通借家契約とみなされる。
  3. 定期借家契約において、自己の居住の用に供する床面積200㎡未満の建物を賃借している賃借人が、転勤や親族の介護等のやむを得ない事情により当該建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となった場合、賃借人は、当該賃貸借契約を中途解約することができる。
  4. 借地借家法上の造作買取請求権は任意規定であるため、普通借家契約、定期借家契約のいずれも、契約においてあらかじめ賃借人は造作買取請求権を放棄する旨の特約を設けることが可能である。

正解 2

問題難易度
肢13.1%
肢279.8%
肢36.0%
肢411.1%

解説

  1. 適切。定期借家契約をしようとするときは、貸主は、あらかじめ借主に対し、契約の更新がなく期間満了により終了する旨を記載した書面を交付して、説明しなければなりません。この説明及び交付がない場合、契約の更新がない定めは無効となるので、普通借地権と同様に、貸主側からの解約の申入れには正当事由が必要となります(借地借家法38条3項)。
  2. [不適切]。定期借家契約の契約方法は「公正証書による等書面」です。口約束はダメですが書面であれば公正証書でなくても構いません。口頭による契約の場合は普通借家契約とみなされます(借地借家法38条1項)。
  3. 適切。床面積200㎡未満かつ「転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情」の場合には、定期借家契約の中途解約が認められています。「廃業による使用継続困難」は中途解約事由にならないのでヒッカケに注意しましょう(借地借家法38条7項)。
  4. 適切。造作買取請求権は、建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作物を、建物の賃貸借が終了するときに、賃借人から賃貸人に対して時価で買い取るべきことを請求できる権利です。造作買取請求権は、普通借家契約・定期借家契約のいずれにおいても任意規定ですので、特約で排除することが可能です(借地借家法33条)。
したがって不適切な記述は[2]です。