不動産の取引(全44問中33問目)

No.33

不動産の売買取引における手付金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、買主は宅地建物取引業者ではないものとする。
2016年1月試験 問35
  1. 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約の締結に際して、宅地建物取引業者は、売買代金の額の2割を超える手付金を受領することはできない。
  2. 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、買主が売主に対して解約手付金を交付した後、当該売買契約の履行に着手したとしても、売主が当該売買契約の履行に着手していなければ、買主は手付金を放棄することにより契約を解除することができる。
  3. 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、交付された手付金を違約手付金とする旨の特約が定められていても、売主が当該売買契約の履行に着手していなければ、買主は手付金を放棄することにより契約を解除することができる。
  4. 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、「宅地または建物の引渡しがあるまでは、いつでも、買主は手付金を放棄して、売主は手付金を返還して契約を解除することができる」旨の特約は有効である。

正解 4

問題難易度
肢12.6%
肢221.0%
肢310.0%
肢466.4%

解説

  1. 適切。売主が宅地建物取引業者、買主が宅地建物取引業者以外の場合には、売買代金の2割を超える手付金を受領することはできません。2割を超える額を定めた場合には、2割を超える部分が無効となります。
  2. 適切。手付による解除は相手方が契約の履行に着手する前であれば認められます。本肢では、契約の履行に着手しているのは買主であり、売主はまだ契約の履行に着手していないので、買主側からの手付解除は可能です。
  3. 適切。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約で手付の交付があった時は、どのような名目で受領したとしても解約手付の性質を有します。よって、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を買主に対して現実に提供することで契約解除できます。
    ※手付には、解約手付、証約手付、違約手付の3種類があります。
  4. [不適切]。宅建業法が定めている手付解除は強行規定です。本肢の特約は、「引渡しがあるまでは」という部分は買主に有利となるので問題ありませんが、「売主は手付金を返還して」という部分は宅建業法の規定(倍額を現実に提供)よりも買主に不利なので無効となります。
したがって不適切な記述は[4]です。