不動産に関する法令上の規制(全68問中6問目)

No.6

宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2024年1月試験 問37
  1. 宅地造成等工事規制区域内において、宅地以外の土地を宅地にするために切土をする土地の面積が600㎡で、切土部分に高さが1mの崖が生じることになる工事を行おうとする場合、原則として、都道府県知事等の許可を受けなければならない。
  2. 宅地造成等工事規制区域として指定される区域は、宅地造成等に伴い災害が生ずるおそれが大きい区域のうち市街地の区域に限られ、これから市街地となろうとする土地の区域や集落の区域は指定されない。
  3. 特定盛土等とは、宅地または農地等において行う盛土その他の土地の形質の変更で、当該宅地または農地等に隣接し、または近接する宅地において災害を発生させるおそれが大きい一定のものをいう。
  4. 都道府県知事等は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害の防止のため必要があると認める場合、その土地の所有者等に対し、擁壁の設置等の宅地造成等に伴う災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。

正解 2

問題難易度
肢114.0%
肢269.0%
肢310.6%
肢46.4%

解説

  1. 適切。宅地造成等工事規制区域内において、宅地造成等の工事をしようとする場合、原則として都道府県知事等の許可を受ける必要があります(盛土規制法12条)。許可が必要となるのは次の5種類です。
    • 切土で2m超の崖を生じるもの
    • 盛土で1m超の崖を生じるもの
    • 切土盛土を合わせて2m超の崖を生じるもの
    • 盛土で高さが2m超
    • 切土盛土する土地面積が500㎡超
    本肢は、切土をする面積が500㎡を超えているため、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
  2. [不適切]。宅地造成等工事規制区域は、①市街地、②市街地になろうとする土地の区域、③集落の区域であって、宅地造成等の工事を規制する必要があるものについて都道府県知事等が指定します。宅地造成等工事規制区域内では、宅地造成等の工事が許可制となるほか、一定の行為について届出が必要となったり、土地の所有者等には災害防止のための措置が求められます(盛土規制法10条)。
  3. 適切。特定盛土等は、宅地または農地等(農地・採草放牧地・森林)で行う盛土その他の土地の形質の変更で、隣接・近接する宅地に災害を発生させるおそれの大きいものをいいます(盛土規制法2条3号)。具体的には次の5種類で、これらの工事を宅地造成等規制区域内で行うときは許可が、特定盛土等規制区域で行うときは規模に応じて許可または届出が必要となります。
    • 切土で2m超の崖を生じるもの
    • 盛土で1m超の崖を生じるもの
    • 切土盛土を合わせて2m超の崖を生じるもの
    • 盛土で高さが2m超
    • 切土盛土する土地面積が500㎡超
    【参考】特定盛土等は、2022年9月発生した静岡県熱海市の土石流災害を受けて新たに規制対象に追加されました。これまで盛土等は、宅地造成等工事規制区域内は宅造法で、農地内は農振法で、森林内は森林法でというように別個に規制され、熱海の盛土のように危険でありながら区域や規模によって規制対象とならないものが存在しました。この問題を解消するため、宅造法が盛土規制法に全面改正され、盛土について農地等を含めた包括的な規制がしかれるに至りました。
  4. 適切。都道府県知事等は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害の防止のため必要がある場合は、その土地の所有者・管理者・占有者・工事主または工事施行者に対し、擁壁の設置や改造を勧告することができます(盛土規制法22条2項)。
したがって不適切な記述は[2]です。