相続と法律(全46問中17問目)

No.17

任意後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2021年5月試験 問44
  1. 任意後見契約において、複数の者や法人が任意後見受任者となることも可能である。
  2. 任意後見契約は、その締結後、公証人の嘱託によって登記され、後見登記等ファイルに所定の事項が記録される。
  3. 任意後見契約は、本人や任意後見受任者などの請求により、家庭裁判所で任意後見監督人が選任された時から、その効力が生じる。
  4. 任意後見人は、任意後見契約に定めた事項に関する被後見人の法律行為について、代理権および取消権を有する。

正解 4

問題難易度
肢115.4%
肢217.5%
肢322.6%
肢444.5%

解説

  1. 適切。任意後見人は未成年や破産者などの欠格事由に該当しなければ法人でもなることができて、人数も1人に限られず、複数の任意後見人を選任することも可能です(民法847条)。
    任意後見契約は、任意後見監督人が選任されるまでは、本人または任意後見受任者が、公証人の認証を受けた書面によっていつでも解除することができる。2019.5-45-4
  2. 適切。任意後見契約は公正証書で締結しなければならず、契約を締結したときは公証人の嘱託によって登記され、所定の内容が後見登記等ファイルに記録されます(後見登記法5条)。
  3. 適切。任意後見契約とは、本人が、受任者に対し、将来認知症などで自分の判断能力が低下した場合に、自分の後見人になってもらうことを委任する契約であって、任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいいます(任意後見契約法2条1号)。
    任意後見制度における任意後見契約は、家庭裁判所により任意後見監督人が選任されるまで、その効力が生じない。2015.10-44-4
  4. [不適切]。任意後見契約は、療養看護及び財産の管理に関して委託する事務については代理権を付与する委任契約です。成年後見人、保佐人、補助人は代理権および取消権を有していますが、任意後見人には取消権がありません(任意後見契約法2条1号)。
    成年後見人は、成年被後見人が自ら行ったすべての法律行為について、取り消すことができる。2024.1-43-2
    成年後見人は、成年被後見人が自ら行った法律行為について、日用品の購入その他日常生活に関する行為等を除き、取り消すことができる。2018.1-44-2
    成年後見人は、成年被後見人が自ら行った法律行為について、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、取り消すことができる。2015.9-45-1
したがって不適切な記述は[4]です。