相続と税金(全56問中23問目)

No.23

相続税法における死亡退職金の非課税金額の規定(以下、「本規定」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢における死亡退職金は、いずれも被相続人の死亡後3年以内に支給が確定して被相続人の雇用主から支払われたものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
2020年9月試験 問47
  1. 相続の放棄をした者が受け取った死亡退職金は、その者の一時所得として所得税の課税対象となり、本規定の対象とならない。
  2. 被相続人の死亡が業務上の死亡でない場合に、相続人が被相続人の雇用主から受け取った弔慰金が被相続人の死亡当時の普通給与の6カ月分に相当する額以下であるときは、その全額が本規定の対象となる。
  3. 被相続人の弟が相続の放棄をし、相続人が被相続人の配偶者と妹の合計2人である場合に、配偶者が3,000万円の死亡退職金を受け取ったときは、その死亡退職金のうち、本規定の適用後に相続税の課税価格に算入すべき金額は2,000万円となる。
  4. 相続人が受け取った死亡退職金について本規定の適用を受け、適用後の相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下である場合、相続税の申告書を提出する必要はない。

正解 4

問題難易度
肢111.9%
肢222.3%
肢39.0%
肢456.8%

解説

  1. 不適切。被相続人に支給されるべきであった退職手当金や功労金などを遺族が受け取ったときは相続税の課税対象になります。死亡保険金と同様に相続財産ではなく遺族の固有財産ですが、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。死亡保険金と同様に本規定の対象とならないという点は適切です。
  2. 不適切。弔慰金は社会通念上相当と認められる額であれば相続税の課税対象となることはありません。
    しかし、普通給与の6カ月分(業務外での死亡の場合)を超える額については死亡退職手当とみなされます。よって、普通給与の6カ月分を超えた額だけが死亡退職金の非課税金額の規定の適用対象となります。本肢は弔慰金全部が対象となるとしているので誤りです。
    被相続人の死亡により相続人に支給される弔慰金は、被相続人の死亡が業務上の死亡である場合、実質上退職手当金等に該当すると認められるものを除き、被相続人の死亡当時における普通給与の3年分に相当する金額まで相続税の課税対象とならない。2015.10-46-4
  3. 不適切。弟は相続放棄をしているので本規定の適用を受けられませんが、放棄した者も「500万円×法定相続人の数」の頭数には加えます。よって、死亡退職金の非課税限度額は「500万円×3人=1,500万円」となり、相続税の課税価格に算入すべき金額は「3,000万円-1,500万円=1,500万円」となります。
  4. [適切]。死亡保険金や死亡退職金の非課税の規定の適用を受け、相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合には、相続税の申告は不要です。
    一方「配偶者の相続税額の軽減」や「小規模宅地の評価減の特例」の適用を受けることにより、相続税の課税価格が遺産に係る基礎控除額以下となる場合には、申告が必要となります。
    死亡保険金の非課税金額の規定を適用することによって相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合、相続税の申告書を提出する必要はない。2023.9-46-2
    死亡保険金受取人となっている相続人が、受け取った死亡保険金について死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けるためには、適用後の相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下であっても、相続税の申告書を提出しなければならない。2021.5-46-4
    死亡保険金受取人となっている相続人が受け取った死亡保険金について死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けるためには、適用後の相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下であっても、相続税の申告書を提出しなければならない。2018.9-45-4
したがって適切な記述は[4]です。