相続と税金(全56問中24問目)

No.24

相続税の税額控除等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2020年9月試験 問48
  1. 被相続人との婚姻の届出をした者は、その婚姻期間の長短にかかわらず、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることができるが、婚姻の届出をしていないいわゆる内縁関係にある者はその適用を受けることができない。
  2. 相続人に被相続人の未成年の養子が複数いる場合、未成年者控除の適用を受けることができる者は、被相続人に実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人までとなる。
  3. 障害者控除額が障害者である相続人の相続税額から控除しきれない場合、その控除しきれない部分の金額は、その者の扶養義務者で、同一の被相続人から相続または遺贈により財産を取得した者の相続税額から控除することができる。
  4. 被相続人から生前に贈与を受けた財産について相続時精算課税の適用を受けていた相続人は、その相続税額から相続時精算課税の適用を受けた財産に係る贈与税相当額を控除することができ、相続税額から控除しきれない場合は税額の還付を受けることができる。

正解 2

問題難易度
肢117.9%
肢252.7%
肢311.5%
肢417.9%

解説

  1. 適切。「配偶者に対する相続税額の軽減」は法律上の婚姻関係にあれば、婚姻期間の長短にかかわらず適用を受けることができます。内縁関係(事実婚)の状態では適用を受けられません。
  2. [不適切]。未成年者控除は、以下の適用要件を満たす人の相続税納付額から「(18-年齢)×10万円」を控除できる規定です(※1年未満の期間があるときは切り上げて1年)。
    • 日本国内に住所がある人
    • 相続や遺贈で財産を取得したときに18歳未満である人
    • 法定相続人であること
      ※相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人であること
    実子の有無にかかわらず、18歳未満の養子全員が未成年者控除の適用を受けることができます。
  3. 適切。障害者の税額控除は、相続や遺贈で財産を取得した人が85歳未満の障害者であるときに、その人の相続税額から「(85-年齢)×10万円」を控除できる規定です(特別障害者の場合は1年につき20万円)。(85-年齢)の部分に、1年未満の期間があるときは切り上げて1年となります。
    障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。
    未成年者控除額が未成年者である相続人の相続税額から控除しきれない場合、その控除しきれない部分の金額は、その者の扶養義務者で、同一の被相続人から相続または遺贈により財産を取得した者の相続税額から控除することができる。2019.9-45-3
    障害者控除額が法定相続人である障害者の相続税額を超える場合、その超える部分の金額は、その者の扶養義務者で同一の被相続人から相続により財産を取得した者の相続税額から控除することができる。2014.1-46-3
  4. 適切。相続時精算課税制度では、相続税の課税価格に相続時精算課税の適用を受けた財産を加えてから相続税額を算出します。各人の納付税額が算出された後、相続時精算課税にて納めた贈与税額を控除できますが、納付税額から控除しきれない場合には、税額の還付を受けることができます。
    被相続人を特定贈与者とする相続時精算課税の適用を受けた相続人は、相続税額から相続時精算課税の適用を受けた財産に係る贈与税相当額を控除することができ、相続税額から控除しきれない場合は税額の還付を受けることができる。2023.5-47-2
    相続開始前3年以内に被相続人から暦年課税による贈与により取得し、相続税の課税価格の計算の基礎となった財産がある場合、相続税額の計算上、当該財産について課された贈与税額を控除することができ、相続税額から控除しきれない場合は税額の還付を受けることができる。2019.9-45-1
    被相続人から生前に贈与を受けた財産について相続時精算課税の適用を受けていた相続人は、その相続税額から相続時精算課税の適用を受けた財産に係る贈与税相当額を控除することができ、相続税額から控除しきれない場合は税額の還付を受けることができる。2016.1-47-2
したがって不適切な記述は[2]です。